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曲馬団のサリー

曲馬団のサリー

SALLY OF THE SAWDUST

91

bakeneko

5.0

ネタバレこれは陸軍の伝統の技術に則った…

ドロシ―・ドネリーの舞台ミュージカル:ポピー(Poppy)のヒロインの名前をポピーからサリーに変えてD,W,グリフィス監督が映画化した作品で、ヒロインを演じたキャロル・デンプスタ―が踊り&アクションと元気いっぱいに暴れまくっているのに加えて、舞台に引き続いて育ての親のマッガーグル教授を演じたW・C・フィールズがちょっと困った芸人親父で笑わせてくれます。 フォスター判事の娘:マリーは曲馬団の芸人と恋に落ちるが、父親に勘当されて駆け落ちする。しかし芸人の夫はすぐに亡くなりマリーも5歳の一人娘サリーを芸人仲間のマッガーグル(W・C・フィールズ)に託して逝去する。13年後、曲馬団の解散で一文無しになったマッガーグルと元気に美しく育ったサリー(キャロル・デンプスタ―)はマリーの生家のあるグリーン・メドウにやってくる。祖父の家にサリーを戻すべきか否か迷っていたマッガーグルだが、裕福だが頑固で芸人嫌いのフォスター判事の人品を気に入らず、サリーの孫の名乗り出は控えておくことにした。同じ頃サリーは天真爛漫な明るさがフォスター家の財産顧問をしているレノックス家の息子ペイトン(アルフレッド・ラント)の気に入り恋に落ちるが、それを知ったフォスターは執事を使って父娘の追い出しを画策する…というお話で、サイレントなのでオリジナルのミュージカル歌曲が聴けない替わりに、映画ならではの曲馬団の動物たちとの共演や格闘&カーチェイス、サリーの見事なバレエやスタントなしのアクションが躍動します。 また、ボードヴィルで鍛えられ当時ジークフェルドフォリーズの看板芸人でもあったW・C・フィールズのジャグリングを始めとした至芸も映画的ごまかし無しでしっかりと記録されていて、細やかなパントマイムの表現も絶妙であります。 ひょんなことから子供を世話することになった自由気儘な男が、やがて情が移った子供の為に父親として奮闘するー「チャップリンのキッド」の姉妹編といった趣きの作品で、そう思って観ると、いつもの深刻&現実的なグリフィス版とは異なり、チャップリン映画のパントマイム的な動きやスラップスティック的なアクションを取り入れた陽気な作風となっていることに気が付きます。 また、ヒロインもいつものリリアン・ギッシュらが演じた(=耐える儚げな)か弱い女性と異なり敵と運命に真っ向から立ち向かう生きの良い娘となっていて、お茶目なウインクは健康的なお色気を振りまいています♡ グリフィス的な“ラスト・ワンミニッツ・レスキュー”とチャップリン映画の“飄々とした自由人&芸人賛歌”が融合している特異な作品で、ラストの大団円までハラハラしながら大笑いできますよ! ねたばれ? いくら判事でも公私混同&職権乱用では? おまけ―同じくヒロインが大活躍するサイレント映画の紹介を… あたしもモスクワ見物がしたかったのよ!―アヒル 「トルブナヤ通りの家」(ソ連 1928年87分) 監督:ボリス・バルネット、出演:ヴェーラ・マレツカヤ、ウラジーミル・フォーゲリ 他 田舎からモスクワに出てきた元気娘の奮闘を、モスクワの喧騒の中に活写してゆくー初期のボリス・バルネットらしい、ドタバタコメディの傑作であります。 伯父を頼って田舎からモスクワに上京したパラーシャ(ヴェーラ・マレツカヤ)は帰郷した伯父とすれ違ったために幼馴染の住むトルブナヤ通りのアパートの散髪屋に家政婦として勤めることになる。人使いの荒い床屋夫婦の店で働き、周囲の人々との交歓や都会の喧騒を経験しつつ持ち前の元気&純朴さでパラーシャは前進してゆく…というお話で、日の出とともに街が目覚める様子や、ディフォルメされたアパートの喧騒、街の交通の賑やかさ…をモンタージュ手法で生き生きと語って行き、その中で奮闘するヒロインの元気を応援する映画となっています。 都会でのヒロインのハチャメチャの活躍をスピーディーに活写して、監督のボリス・バルネットがモスクワやってきたアメリカ人に扮して街を爆走した「ボリシェヴィキの国におけるウェスト氏の異常な冒険」の姉妹編ともいえる作品で、一応労働組合礼賛的なスローガンも掲げていますが、強欲&側物的なモスクワっ子気質のエグさでも笑わせて、共産主義初期のソ連の朗らかさにも驚かされます。 モンタージュ手法に加えて、巻き戻しやストップモーションなどの映像御遊びも駆使して、ヒロインの都会での奮戦を活写して笑わせる元気印のコメディで、ヒロインに恋人を獲られたと怒る娘を演じたアーネリ・スダケーヴィチ(22歳♡)は「アジアの嵐」、「二人のブルディ」にも出演していますよ!(この人はロシアの画家イワン・クラムスコイの「見知らぬ女」の“上から目線美女”にそっくり!) ねたばれ? 1、で、アヒル君はどうなったんだ~

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