ここから本文です

空襲と毒瓦斯 (1933)

I WAS A SPY

監督
ヴィクター・サヴィル
  • みたいムービー 0
  • みたログ 2

3.00 / 評価:2件

マデリーン・キャロルの女スパイ

  • rup***** さん
  • 2018年10月15日 0時05分
  • 閲覧数 124
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

第一次大戦中のベルギーを舞台にして、ドイツ軍の占領下におかれた都市ルーセラーレでの諜報活動を描いたイギリス映画。

「空襲と毒瓦斯(ガス)」という邦題から、古色蒼然とした戦争映画をイメージしてしまいがちですが、内容的には、ディートリッヒ主演の「間諜X27」やガルボ主演の「マタ・ハリ」のような女性スパイものに分類される作品です。

第一次大戦中、イギリスのスパイとして活動したマルト・ノッカートという実在のベルギー人女性を主人公とした物語で、彼女の回想録『I Was a Spy!(私はスパイだった)』を基に映画化した作品なので、ドラマチックに脚色されたスパイものとは一味違った地味な作風ですが、ストーリーにはリアリティを感じられるようになっています。

マルトを演じているのが1930年代~40年代を中心に、イギリスとアメリカ両国の第一線で活躍した美人女優マデリーン・キャロルなのが嬉しいところ。

もっとも、昔風の洗練されていない感じのメイクで、ライティングもあまりよくないので、彼女の出演した有名どころの作品の中では一番古い「三十九夜」より前の作品であるにもかかわらず、歳っぽく見える場面が多いです。
ヴィクター・サヴィル監督の演出が真面目一本で通していて、ヒッチコック先生のように女性に対する執着心が足りないことも原因なのかもしれませんが・・・。

また、マルトとともに諜報活動を行っていくうちに彼女と惹かれあうようになる医師ステファン役にハーバート・マーシャル、占領軍の司令官であるドイツ軍人役にコンラート・ファイト、ルーセラーレの市長役にエドマンド・グウェンというように、脇を固める俳優陣にハリウッドでも活躍をするようになる名優たちが多いのも観どころです。特に、コンラート・ファイトは、モノクル(片眼鏡)をかけて、ねちっこい雰囲気の憎まれ役を好演していました。

看護師の仕事をしていたマルトは、イギリスのスパイをしているおばからスパイの仕事を託されて、暗号を伝えるような単純な任務から始まり、やがてドイツ皇帝が来訪する日時を探るため、ドイツ軍司令官と連れ立って旅をする重要な役目を担うまでになります。
情報を上手く聞きだした後、逃げるタイミングを失ってしまい、司令官から無理矢理関係を迫られて応じざるを得なくなるシーンの残酷さ。
マルトが戻ってきたときに、ステファンの前で流す一筋の涙と、それを見て事情を悟ったステファンが彼女の手を取ってそっと握りしめるシークエンスは、本作の中で一番心打たれる場面でした。

本作の時代設定を第二次大戦にして、ドイツ皇帝(カイザー)をヒトラーに置き換えても話が成り立ってしまうのではと思えるくらい、第二次大戦中の反ナチ映画と似た雰囲気なのも興味深い点で(コンラート・ファイトもナチス将校を演じた「カサブランカ」での役柄とイメージが重なってみえます)、実際、本作がつくられた1933年はナチスが政権をとり、ヒトラー内閣が成立した年なので、新たな世界大戦への幕開けとなる不穏な時代の空気も反映されていたのかもしれません。


余談ですが、マデリーン・キャロルのスパイ役というと、ハリウッドでボブ・ホープと共演した「My Favorite Blonde」というのがあって、個人的には大好きなのですが、敵から命を狙われている凄腕スパイのマデリーンがボブを巻き込んで繰り広げられるコメディ演技がとても魅力的で、楽しめる作品になっていました。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 不気味
  • 恐怖
  • 勇敢
  • 知的
  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ