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戦友 (1937)

THEY GAVE HIM A GUN

監督
W・S・ヴァン・ダイク二世
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3.00 / 評価:2件

彼らが彼に銃を与えた

  • rup***** さん
  • 2020年11月8日 23時57分
  • 閲覧数 90
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

撃ち込まれた弾痕でタイトルを描き出すインパクトのあるオープニング。

第一次大戦を背景にした物語で、前半は戦争映画、後半はギャング映画と、途中でガラッとテイストが変わる作品ですが、1人の純朴な若者が戦場で英雄として称えられる体験をしたことがきっかけで、戦後、冷酷な犯罪者に変貌してしまうという一種の戦争風刺劇的な内容になっています。

1937年の製作なのでまだ第二次大戦の勃発前であり、先の戦争(第一次大戦)に対する反省も盛り込まれたものになっているため、第二次大戦中に作られた政治宣伝色の強い戦争映画よりも共感を持って観ることができる作品といえるかもしれません。

また、ヘイズ・コードが厳格適用されることになった1934年以降のギャングを英雄視しない作品づくりの流れに沿ったものにもなっています。

MGMにおける中堅的存在のW・S・ヴァン・ダイク二世が監督。

フランチョット・トーンが演じているジミーは、およそ軍人には向かない繊細な性格の持ち主で、軍事教練を受けている最中に気絶してしまうような弱々しい一面のある若者であったのに、独軍と戦闘になったときに、たまたま逃げ込んだ教会の中から味方を阻んでいた独軍の数名の兵士を狙い撃つことができる好機を得ることになります。

直前までは死んだ兵士にも怯えていた彼がまるでプロのスナイパーのように1人ずつドイツ兵を撃ち殺していき、最後の1人に至っては狙い撃ちしているジミーに気付いて両手を上げて降参しているにも関わらず、何のためらいもなく撃ち殺してしまう。
その直後ジミーは砲撃を受けて負傷するものの、この戦闘での武勲を褒め称えられて、ジミーは2つの勲章を貰うことになるわけです。

一方、ジミーと同期入隊のフレッドは、経験も豊富で、勇気も知恵もある男。ジミーと親しくなって、良き軍隊仲間になります。このフレッド役を演じているのがスペンサー・トレイシー。

フレッドと相思相愛の仲になった看護師ローズ(グラディス・ジョージ)にジミーも惚れ、負傷したジミーが病院に運び込まれて、ローズがジミーの看病をしているうちに2人は心を通わせるようになっていき、フレッドが戦闘中に生死不明となってしまった後、ローズはジミーのプロポーズを受け入れます。

ところが、フレッドは死んでおらず、ジミーと再会してローズとの婚約を知ると、ローズにわざと冷たく接して、自分は身を引くことに。

ここら辺のメロドラマはありきたりな展開ですが、戦後になって、フレッドは、狙撃殺人事件の現場でジミーと思わぬ再会をし、その狙撃犯がジミーであることを知ることになります。
フレッドは、ジミーに足を洗うよう諭すのですが…。

戦場においてたった1人で何人もの敵兵を撃ち殺すという戦時中には英雄扱いされた狙撃の腕が、戦後、人殺しという犯罪に姿を変えて用いられ、繊細だった青年が残忍な殺人犯に変わってしまう様をドライに描きだしているのが特徴的で、軍隊時代の上官だった刑事に対して、フレッドが「あなたですよ。彼に銃を与えて英雄にしたのは」と呟くラストシーンが強く心に残ります。

トレイシーのどっしりとした演技はいつもながらの安定感ですが、性格が変化していくジミーの存在がとりわけ大きい作品であり、ジミーの様々な顔を演じ分けるトーンの演技が観ごたえ十分で、終盤、警察に取り囲まれたジミーがフレッドとローズに挙手の礼をして別れを告げる姿がとても印象的でした。

〈戦争映画を10本収録したパブリックドメイン版DVDで鑑賞しました〉

詳細評価

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