チッチッチッチッチ…
- bakeneko さん
- 2019年11月6日 11時44分
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アメリカ映画の自主検閲制度:ヘイズコード(1934~68年)が作成される直前に作られたーアメリカの暗部を露呈している社会派人間ドラマの傑作で、第一次世界大戦から大不況時代までのアメリカを一人の男の苦難に集約させて映し出してゆきます。
トマス・ホームズ(リチャード・バーセルメス)は第一次世界大戦の塹壕戦で敵将校を捕虜にするべく決死隊に参加して見事に目的を遂行するが重傷を負ってドイツ軍の救護班に収容される。トマスの友人のロジャー(ゴードン・ウェストコット)は戦線で気絶寸前のトマスから捕虜を受け取ったことで英雄となり故郷に凱旋するが、トマスは砲弾が体に残り、痛みを緩和するためのモルヒネ中毒となって帰国する。死んだと思ったトマスと再会したロジャーは贖罪の意識もあって彼を父親が経営する銀行に就職させるが、麻薬中毒が悪化したトマスは解雇され、治療中に母親も亡くなってしまう。新規まき直しに選んだシカゴでトマスは安食堂兼下宿屋を経営しているメリー(アリーン・マクマホン)とルース(ロレッタ・ヤング)の姉妹、そしてロシアから亡命した発明家:マクス(ロバート・バラット)と知り合い、洗濯会社で才覚を発揮する。やがてマクスの発明した洗濯機械を取り入れた会社は飛躍的に発展するが、物分かりの良かった先の経営者が亡くなると状況は一変する。会社がリストラに乗り出した為に労働者と公安の衝突の際にルースは圧死し、トマスは暴動の首謀者として5年の刑期を食らう、出所したトマスが観たものは大不況にあえぎ、共産主義と組合活動の弾圧に狂奔するアメリカの姿だった…という―それ以降は1968年にヘイズコードが撤廃されニューシネマが起こるまで、あからさまに語られることがなかったアメリカの暗部が華燭なく提示されてゆきます。
只、粗筋だけだと陰鬱な告発劇の用ですが、流転する主人公の様子をサスペンスとユーモアを絶やさずに活写しているー一級の語り口の娯楽作としても愉しめる映画ともなっていて、特に発明家:マックスの得意なキャラクターとメリーとの“チッチッチッチッチ”の掛け合いでは大笑いさせてくれますよ!
ねたばれ?
“お前共産主義者じゃなかったのか?”に対しての返答―“そうさ!あの頃は金を持っていなかったからな!”-は正直な本音だなあ~
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