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曠原の志士

曠原の志士

TUMBLEWEEDS

80

bakeneko

5.0

ネタバレ女に振られて八つ当たりなんて酷い!(蛇)

気儘なカウボーイ稼業の男達が女性に惚れて身を固めようとする奮闘を、1889年4月22日のオクラホマ州とカンサス州との間に横たわる1万2000平方マイル豊純な平原の入植競争(=ランドラッシュ)に絡めて描いた西部開拓劇の快作で、サイレントの西部劇スター:ウィリアム・S・ハートの引退作でもあります。 ランドラッシュ (Land Rush, Land Run) とは1889年4月22日にアメリカ合衆国政府が入植を解禁したオクラホマに白人が未開の土地を求め殺到した現象を指す。 15ドルの入植手続き料を支払った人々がオクラホマとの境界に集まり、1889年4月22日の正午を告げる号砲が鳴ると一斉にオクラホマへと乗り込んで行き、希望の場所に旗を立てることで領土申請をして、一人当たり160エーカー(65ヘクタール)の周囲の土地を手に入れた(wikiより抜粋)。 本映画の原題はTumbleweeds―直訳すると“転がる種”で、西部の草原の様々な草の枯れ茎と種子が絡み合って風に吹かれて球体化したものです(よく西部劇で転がっていますよね)。この転がる様子から、根無し草(=カウボーイ)の隠語となっています。 映画の最初に、1889年を境に絶滅を迎えた動物の様にカウボーイが語られます。 もちろん20世紀にもカウボーイという職業は存在しますが、誰の土地でもない広大な西部を気儘に牛を放牧していた時代と、全ての土地が誰かの所領となってしまってからの放牧は勝手が違ってきます(西部劇によくある“水場争い”はこの土地配分が済んでから頻発し始めます)。 この西部の一大転換イベントを傍観するつもりだった主人公と部下は町に偵察に来た際に、それぞれが女性と恋に落ちて、急遽彼女の為にランドラッシュに参加して助太刀することにしますが、事前情報から肥沃な土地に目をつけていた悪漢且つ恋敵が主人公達を罠に掛け…というお話で、ガンファイトではなくて、入植の“土地旗立て早いもの勝ち競争”がクライマックスとなります。この無手勝流の大競争が圧巻の迫力を出していて、馬、馬車、自転車、幌馬車…を本当に全力疾走させて見せるスピード感は現在の映画では観ることのできない本物の凄さに瞠目させてくれます。 また、放牧の際の牛の一列縦隊の整然とした行進などの放牧風景や、入植者の幌馬車の仕組みも正確に映し出されています(“本物”が有った時代ですから)。 そして、悪者には超人的に強い主人公が恋する女性を前にして右往左往する不器用さで笑わせて「アラスカ魂」等のジョン・ウエインの主人公の元ネタともなっています。 それまでは“笑わない&寡黙”なヒーローで人気を博していたウィリアム・S・ハートが最後に魅せた笑顔&コメディ演技も見所の西部劇で、“カウボーイの精一杯のおしゃれ”の服装も見ることが出来ますよ! ねたばれ? 異母兄弟ならば、叱る権利はあるのじゃあ…

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