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クラム (1994)

CRUMB

監督
テリー・ツワイゴフ
  • みたいムービー 23
  • みたログ 13

4.00 / 評価:7件

良質ドキュメンタリー

  • nakedcity1111 さん
  • 2008年12月9日 23時01分
  • 閲覧数 440
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

ロバート・クラムという人物を本人や家族、知人のインタビューと本人の作品を通して紹介するドキュメンタリー。
なぜか一度観たきりなのに何年も心にひっかかってしまった映画。
最初は「誰?ロバート・クラムって?」状態で観たんだけどねえ、、、。
う~ん、のんきに気軽に観始めたんだけどねえ、、、。
ちょっと暇つぶしに映画館(記憶が確かなら渋谷のユーロスペースだ)に寄っただけだったんだけど。
「考えさせられる」とかしたり顔で言えなくなる迫力ある一本。
いや、自分もこうしてしたり顔で感想書いているんですが。

取り立てて派手な要素もない淡々とした映画と思いきや、観ていくうちに次第に彼のハードでタフな家庭史が露になってくる。
"古き良きアメリカ"的だったはずの家庭(雄々しいダディに家庭的なママ、仲良し兄弟達)が崩壊の一途をたどっていく。
インタビューに応えている家族に誰一人として精神的に正常な人はいない。
そんな家族の中で唯一「一見まとも」と思わせる本人も、作品紹介やインタビューを通して根深い心の傷をさらけ出していく。

憎悪、憧憬、絶望、諦観、、、。

幼少時に兄とともにコミック製作に熱中していたというエピソードまでは「アメリカ版まんが道(富山編)かよ!」という感じでむしろ微笑ましいくらいなのだが、兄チャールズ・クラムが精神的変調を来し始めた頃の作品紹介からそんなのんきな感想を言っている場合ではない、と観る側は緊張を強いられる展開になる(もう一人弟が出てくるのだが、弟は弟で最後の方でトンデモっぷりを披露)。

もうね、観ている側は「ダメだこりゃ」といかりや長介のような気持ちにさせられっぱなし。

それでもロバートは崩壊していく目の前の家族から逃げ込むように「描くこと」にのめりこんでいく。
「まるで何かに取り憑かれたかのよう」とはまさに彼のためにあるような言葉だ。
いつの間にか勝手に出来上がっていた名声や周囲の賞賛も彼を通すと皮肉にしかならない。
周囲の人物が彼とその作品を語れば語る程、周りと彼との隔たりが逆に浮き彫りになっていく。

終始本人は淡々と昔の事を他人事のように話しているだけなんだけどね。
一番饒舌なのは本人の作品そのものなのだが。

そして観ているうちにふと気づくのだ。
彼は常に笑みをうかべた表情だが決して笑ってはいない。
あるのは「苦笑」としかいいようのない表情だ。
絶望と共に生きるとはこういう事なのかな、と思わせる表情だ。

彼がアメリカを後にし、兄弟母親と別れを告げ、フランスに渡るところで映画は終わる。
、、、かと思いきや、唐突に画面に現れる兄チャールズの運命を告げる文字。おいおい。

個人史を扱うドキュメンタリーは制作側も慎重にならんといかんな、とこの映画をみると思い知らされる。
チャールズ・クラムの死の引き金をひいたのははっきり言ってこの映画でしょ。
観た後(観ている最中からなのだが)いたたまれなかったよ。

、、、とか言って、DVD買って何度か観なおしちゃったんだけどね、、、。
ロバート・クラムの愛する音楽、そして作品の数々も、勿論魅力たっぷりです。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 絶望的
  • 切ない
  • コミカル
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