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キャント・バイ・ミー・ラブ

一人旅

5.0

80年代学園版「逃げ恥」

スティーヴ・ラッシュ監督作。 冴えない高校生とチアリーダーの一風変わった恋模様を描いた学園ラブ・コメディ。 80年代は学園ドラマの全盛期であり、ジョン・ヒューズの『ブレックファスト・クラブ』(1985)や『フェリスはある朝突然に』(1986)など名作を挙げたら切りがありません。そんな中、本作もその知名度こそ低いものの80年代学園映画の隠れた名作と言える逸品です。現時点で日本版DVDは発売されていないので、今回はVHSでの鑑賞となりました。 いわゆる“陰キャラ”グループの一員で、学校の華やかなリア充には全然相手にされない冴えない高校生ロナルドが、チアリーダーのキャプテンで学校のマドンナ的存在のシンディに1000ドルと引き換えに一か月の間だけ彼女のフリをしてもらう契約を交わす。恋人契約を結んだロナルドとシンディは人前で成立ホヤホヤのカップルを演じるが、次第にシンディはロナルドに好意を感じ始めて…という“疑似カップルの恋の行方”を描いた青春ラブコメで、設定的には日本で大ヒットした「逃げ恥」を想起させます。 ロナルドはシンディの彼氏を演じることで陰キャラから一転、期待通り学校の人気者へと生まれ変わっていきます。運動部の屈強な男たちに馬鹿にされていたはずが、いつの間にか彼らの仲間入りを果たし、ダンスにパーティーにリア充らしい華やかな日々を満喫するロナルド。モジャ毛天然パーマ+メガネという陰キャ丸出しの風貌も、シンディ指導のもと整髪剤どっぷり+サングラスの今どきイケイケ高校生に変貌します。 一か月の恋人期間が過ぎようとした時点でシンディはロナルドへの好意を感じていますが、肝心のロナルドは仲間や女と遊ぶことに夢中で全然その気にならない。この男女の完璧な逆転劇がユーモラスで、自分のせいですっかり変わってしまったロナルドと予想に反して彼を好きになってしまったシンディの恋の行方がストーリーの核になります。 主演のパトリック・デンプシーは「陰キャラ→陽キャラ」へと大胆に演技を使い分けていますし、ヒロインのアマンダ・ピーターソンも80年代版エマ・ワトソンみたいなルックスがキュートです。 タイトルの「キャント・バイ・ミー・ラブ」はビートルズのシングル曲のタイトルをそのまま引用していますが、意味は「(マネー)キャント・バイ・ミー・ラブ」つまり“愛はお金で買えない”になります。この曲は主題歌にもなっており冒頭とエンディングで流れますが、本作の内容自体はその逆パターンです。

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