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恐怖省 (1944)

MINISTRY OF FEAR

監督
フリッツ・ラング
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4.27 / 評価:15件

二重の「たまたま」

  • 文字読み さん
  • 2010年1月8日 1時52分
  • 閲覧数 319
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

1944年。フリッツ・ラング監督。グレアム・グリーン原作の一風変わったスパイ小説を映画化。第二次世界大戦下のイギリス。妻殺しの過去を持つ男(安楽死だけど)が、送り込まれた精神病院を出ると、次々に不思議な出来事に巻き込まれていく。やがてイギリスに張り巡らされたドイツのスパイ網が浮かび上がる、という話。

たまたまスパイの暗合を言ってしまって巻き込まれていく主人公がスパイを疑われるのですが、実際に過去の殺人を悔んでいることで、その疑いをうまく晴らせないというのがミソ。最初に「たまたま」があるだけに、警察に説明すればするほど怪しくなっていく。そしてこの「たまたま」の描き方がすばらしいです。「たまたま」スパイが変装した占い師にキーワードを言ったことからあるものを入手するのですが、主人公がスパイではないことに気付いた占い師らが失敗を取り戻そうとする偽装工作をも「たまたま」防いでしまいます。つまり、主人公は「たまたま」スパイにキーワードを言うだけではなくて、そのうえにもう一度、「たまたま」スパイと同じように行動していた。映画はこの二重の「たまたま」から始まっているので、主人公の身分はどうしようもなく偶然的です(しかも精神病院の治療を終えた生まれ変わった人間として登場していた)。

そして偶然性をまとう主人公の冒険が、スパイをとらえる探偵=警察みたいなものになるかというと、必ずしもそうはならず、スパイでもその反対でもなく、単純に真相を知りたいという衝動からその過程で知り合った女性を信じつくす、という展開がすばらしい。国家もその反逆者も信じないけれど、愛した女性はそのどちらであるかを問わずに信じる。

白から黒までの濃淡の様々な色合いが美しいモノクロ画面、主人公を待ち構える「座った人々」、静かなテンポ。美しい映画です。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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