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恐怖の足跡 (1961)

CARNIVAL OF SOULS

監督
ハーク・ハーヴェイ
  • みたいムービー 23
  • みたログ 35

3.89 / 評価:18件

ホンモノの恐怖に遭遇するカルトホラー

  • 一人旅 さん
  • 2016年8月6日 20時17分
  • 閲覧数 364
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

ハーク・ハーヴェイ監督作。

交通事故に遭い奇跡的に生還した女性・メアリーが、事故のあと度々姿を現す謎の男の存在に恐怖する姿を描いたホラー。

カルトホラーとしてマニアの間で有名な作品で、一般的な知名度こそ低いもののその完成度は驚くほど高い。ホラー映画のお手本のような恐怖演出に背筋がゾッとする。ホラー映画の名を借りておきながら結果的に安っぽいモンスター映画と化していく典型的なアメリカ製ホラーとは一線を画する。

「突然のフレームイン+びっくり効果音」の安易なコンボ技で誤魔化したりしない。車のウィンドウに映り込む影だったり、水の中から浮かび上がる不気味な男の姿だったり、知り合いの人間の顔が一瞬だけ別人に変わったり...。窓や水、オルガンなどの小道具を巧みに使った繊細な恐怖演出と、現実と非現実を混在させた不気味な映像世界で鑑賞者の恐怖心を煽る。

主人公・メアリーの精神描写も抜群に上手い。本作と同時期に製作されたジャック・クレイトンの傑作『回転』で主人公の家庭教師を演じたデボラ・カーのように(演技レベルは雲泥の差だが)、身の周りで起こる奇怪な出来事の連続に次第に憔悴していくメアリーの精神描写は鬼気迫るものがある。周囲の物音の一切が突然消失し、自分の歩く足音だけがコツンコツンと不気味に響きわたる恐怖。ミア・ファローの『見えない恐怖』やオードリー・ヘプバーンの『暗くなるまで待って』が文字通り登場人物の見えない恐怖を表現したのに対し、本作は登場人物の聴覚を奪うことで、現実世界から自分だけが切り離されるという恐怖・絶望・孤独を描き出す。聴覚だけでなく、自分自身の姿が他人から見えなくなるという「逆・見えない恐怖」的演出も印象的だ。気晴らしにショッピングを楽しむ中、それまで普通に接客していた店員がなぜか自分だけを無視するようになる。必死に話しかけてもまるで反応なし。「なぜ?なぜ?なぜ?もしかして私が見えないの?」メアリーの心理を想像するだけで絶望的に怖い。もし自分がメアリーの立場だったら迷わず発狂する自信がある。

DVDの画質が粗いのが何とも残念だったが、モノクロ&荒涼とした映像もメアリーが体感する恐怖と孤独を助長する上で一役買っている。廃墟と化した広々とした遊園地にたった一人で入り込んでいくメアリー。廃墟の遊園地という孤独を象徴するような場所と、そこでメアリーが目撃する狂気と死の舞踏は衝撃の映像世界だ。

そして、メアリー自身に隠された意外な真相に、本作がカルトホラーとして揺るぎなき地位を確立できた要因がある。とはいえ、今観るとその結末は大して衝撃的ではないし、正直なところ序盤で簡単に予想できてしまう(これ系統の結末のビッグネームは誰もが知るあの作品です)。だが、製作当時1960年代初頭の時点では、本作の結末は間違いなく観客の度肝を抜いたはずだ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • パニック
  • 不気味
  • 恐怖
  • 絶望的
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