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アイガー・サンクション (1975)

THE EIGER SANCTION/ASSASSINIO SULL'EIGER

監督
クリント・イーストウッド
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  • みたログ 571

3.11 / 評価:251件

全てが本物の山岳アクションの傑作!

  • カナボン さん
  • 2009年4月21日 22時59分
  • 役立ち度 13
    • 総合評価
    • ★★★★★

「何故、山に登るんだ?」「そこに山があるからだ」
有名な某登山家の名セリフです。私は別に登山愛好家ではありませんが、山国長野県育ち故、これまで何度かは山登りをしたこともあります。とは言ってもザイルを使った本格的なものではなくて、ハイキングの延長のようなものですがw

今日のお題目は「アイガー・サンクション」です。

お気レビ様もお書きの通り、この作品が後の「クリフハンガー」や「バーティカルリミット」などの山岳アクションの走りになったことは間違いありません。人を寄せ付けない断崖絶壁と自然の脅威に文字通り命綱一本に自分の、そして仲間の生命を賭ける。まさに娯楽映画にはもってこいですよね。

しかも私が一番好きなクリント・イーストウッドの主演・監督作。イーストウッドの映画はtenguさん同様、どれも大好きなのですが、本作ももちろん例外ではありません。

幾多のこの山に挑んだ人間たちの命を奪ってきた、魔の山アイガー北壁。この山を舞台に展開するサスペンスアクション大作が本作です。

イーストウッド扮するジョナサン・ヘムロックは、今は大学の教授をしているが、かつては凄腕の殺し屋。引退して殺し屋稼業で稼いだ金で手に入れた名画に囲まれて静かに暮らしていたが、組織に脅迫され、やむを得ず最後の殺し屋稼業を再開することに。組織のメンバーを殺害した犯人を殺せと命令を受ける。しかし当の殺し屋は名前も顔も全く不明。ただ一つわかっていることは、かのアイガー北壁に挑むパーティの一人だということ。そこでヘムロックは過去2度挑んで命を落としかけたアイガーに挑戦し、その過程で正体不明の殺し屋の命を狙うことになる。

アイガーに挑むのはヘムロックを含め、4人の男たち。自分の他の3人のだれが目指す殺し屋か?目もくらむような断崖のアクションに、正体不明の犯人探しのミステリーが絡み合い、極上のサスペンス映画に仕上がっています。

この映画の見所は、とにかく本物の山岳アクション。アイガーに挑む前のトレーニングでアリゾナモニュメントバレーのトーテムポールと呼ばれる断崖を登り切り(その頂の面積はわずか一坪半もない!)、そしてメインのアイガー北壁も正真正銘の本物。決して作り物の絶壁や合成などではないのです。本物だからこそ、登山家が山に挑む執念や、その孤独感、そして恐怖心が克明に映し出される。実際に同行した過去にアイガー登頂成功経験者のいわばプロの登山家が、アイガー撮影2日目に落石事故で死亡までしているのです。(しかもその最期の場所が数分前にイーストウッド本人が立っていた岩棚だったとか)

氷壁に打ち付けられるハーケン、全員をつなぐ一本のザイル、山岳映画では欠かせない要素ですが、この映画ほど登山道具のひとつひとつが印象的に語られる作品はないでしょう。滑落していく恐怖、目もくらむ高さの絶壁に宙づりになるイーストウッド、まさに手に汗握るスリルを満喫できます。

サスペンス映画としてもなかなか細かな配慮がなされています。序盤から中盤にかけてのアイガーに挑むことになる顛末の描写、そしてそのトレーニングシーン、一癖も二癖もある人物たちとの絡みなど、正直ちょっとくどい感じも受けますが、これらのシーンがあるからこそ、クライマックスのアイガーでのシーンが活きてくる。しかもラストの真相についてもこの前半があるからこそ納得できる作りになっているのです。

イーストウッドは今や名監督ですが、彼が最初にアカデミー監督賞を獲ったのは名作「許されざる者」。あの映画で初めて一般的に認められたのですね。しかし敢えて危険を顧みず、本物の持つ迫力を出そうと挑んだ本作など、既にイーストウッドはこのころから名監督でした。ただ、一人のアクションスターが素晴らしい名作を演出出来る筈がないという、くだらない人種たちの馬鹿馬鹿しい偏見のせいで認められなかったに過ぎなかったのだとつくづく思います。

イーストウッドのファンであるならば、おそらく本作を気に入ることは確実。また、山岳アクションが好きな方も、「クリフハンガー」等に比べるとアクションは地味に感じるかも知れませんが、この作品のもつ本物のスリルとサスペンスには必ずや虜になると思います。

詳細評価

物語
配役
演出
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音楽

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