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キラー・エリート

キラー・エリート

THE KILLER ELITE

116

hsa********

5.0

ほぼ傑作

ほとんどの日本の観客が、見落としてしまっている要素がこの映画にはある。 伝統的なアメリカ映画の話法である。 この映画はほぼ完璧に撮られ、ほぼ完璧に編集されている。 同軸線上のアクションつなぎに始まって、同軸線上のどんでん返し、サイズの変更、フレームインアウトのタイミング、同時間に生起する出来事の並列性、などなど、サムペキンパー世代までは、かなりの人が自然にできたことだ。 ペキンパー後はほぼトビーフーパーとジョンカーペンターのみになりその後はクリントイーストウッドだけが伝統を受け継いだ。 見やすさの倫理といえるこうした作り方は映画の基本である。 この映画のスイスイと滑らかに変わっていく画面に驚くことから始めなくてはならない。 ペキンパーの映画の特徴は言うまでもなく、暴力描写だ。暴力描写の裏には偽善に対する軽蔑がある、ペキンパーが偉いのは偽悪も軽蔑していることだ。 いわゆる真実の瞬間は殺す時と殺される時にあり、その時間を引き延ばすことは、自然なことだったに違いない。 偽善大国の日本にとって、ペキンパーはとても重要な作家だ。安易に偽悪に走る多くの日本の映画監督にとっても重要な作家だ。この映画の価値が解る観客が増えなければ、ガチャガチャ映画が増えるだけだ。 暴力描写が弱いとか、物語が弱いとか、アジア人対する偏見があるとか、あんな忍者はいないとか、ほぼ不毛な議論はもうこのへんにして、ひと画面づつ追って見てみよう。充実ぶりが発見できるはずだ。

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