作品レビュー(5件)
- 一人旅
5.0点
マルセル・カルネ監督作。 フランスの港町を舞台に、脱走兵の男と若い女の出逢いと別れを描いたドラマ。 名匠:マルセル・カルネが戦前に撮った骨太な人間ドラマで、アキ・カウリスマキの『ル・アーヴルの靴みがき』(11)でも舞台となったフランス北西部の港町ル・アーヴルにおける訳あり男女の邂逅と運命を描いています。 外国への船出のために霧深い港町ル・アーヴルにやってきた植民地部隊の脱走兵:ジャン(&懐いてきた野良犬)と、彼が酒場で出逢った若く美しい女性:ネリーの恋の顛末を、ネリーを愛する義父の秘かな目論見や、義父がトラブルを抱えている現地のヤクザ者との争いを絡めながら描いています。 ル・アーヴルに立ち込めた霧の光景がモノクロの映像によく映えていますし、モーリス・ジョーベールによる抒情的な音楽が刹那的な男女の恋を哀しく盛り上げています。 そして、主演のジャン・ギャバン(撮影時34歳)と相手役のミシェル・モルガン(撮影時18歳)という歳の差16歳のコンビが恋と人生の狭間で揺れる男女を物憂げに演じていて、当時既にスターであったジャン・ギャバンに引けを取らない力演を披露したミシェル・モルガンは本作が出世作となりました。さらに、ネリーの義父役で出演した怪優:ミシェル・シモンの存在に注目で、物語の進展と共に豹変していくユニークな役柄は正に適役と言えます。
- bmw********
4.0点
これといって感じるものがなく、ストーリーもありきたりで最後は殺されるといったつまらん映画だと思った。 ドラマの中に出てくる犬だけが忠実に描写されている。
- bar********
5.0点
霧の波止場。いいですね。 ジャン・ギャバンの品格のある演技が実に素晴らしい。 ストーリーとしては、追われる男と家出娘の苛酷な恋を描いたものとしては、王道な部類に入ると思います。主人公ジャンが追われる理由と、ネリーと義父との関係などの経緯は語られません。 荒涼とした空気の漂う港町。事情のある人間の避難場所のような「パナマ」。画家や浮浪者、そしてギターをかき鳴らす店主(?)、この寂しそうな人たちは何だろう、真理としての苦悩を宿したような奥深い姿。その中でたたずむミシェル・モルガンとジャン・ギャバン。二人の静かでおおらかな雰囲気が恋の序曲を、少しずつ歌うように奏していきます。 恋愛は突如として燃え上がります。心理の描き方はどこかで見たことがある感じではあるのですが、見ていて嫌にはなりません。気持ちの描き方が丁寧だからだと思います。こういう感じを出すには、作り手の誠心が問われると思います。ありふれた恋愛テーマかもしれません。でも感動してしまうのです。 ラストはややあっけなく終わってしまいます。でも自然ではあると思います。観客は少し驚くかもしれませんね。でも考えてみてください。ハリウッドや日本の商業映画は観客の気持ちを盛り上げるために、案外自然さを効率のために犠牲にしていると思いませんか? 映画だけでも現実らしからぬ物語を……現実って、いつから退屈極まりないものになったんでしょうか。 こういう映画の素晴らしいところは、現実の良さを気づかせてくれるところです。寂しい、荒涼とした風景、埃のある街路や、汚らしい人間たち、しかしいつか必ずわかるはずです、こういう風景が本来自分たちを心底ほっとさせてくれるものだということを。 ジャン・ギャバンの表情、身振りをよく見てください。彼が体現しているのは、ひとつの高貴な現実であることがわかります。それはなかなか明らかにされません。彼だけの秘密なのです。その神秘的な魅力を追うだけでも、この映画ってすごく面白いじゃありませんか。
- カッチン
3.0点
この映画ミシェル・モルガンをスターにした映画ということで観た。 ジャン・ギャバン(ジャン役)に無理があるほど渋すぎ・・・、ネリー(ミシェル・モルガン)は当然美しいけど・・・。とにかくストーリーが単純で展開にスリルが無いし、ジャン・ギャバン自体そんなに格好良くない。たんなる古風な恋愛映画という感じ。 因みにミシェル・モルガンは91歳だそうです。
- mor********
5.0点
霧の波止場、この雰囲気を出すには白黒映像と 思う作品です。 ストーリー展開も、いいです。 「天井桟敷の人々」のピエール・ブラッスール 「悪魔の美しさ」のミシェル・シモン、「田園交響楽」のミシェル・モルガンと 演技陣も個性あります。
スタッフ・キャスト
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受賞歴
ヴェネチア国際映画祭第6回