突き抜けてないタラ味クライムムービー
- ポルティ さん
- 2019年5月20日 12時50分
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タランティーノがビデオ屋の店員として働きながら映画の知識と愛情を深めたというのは有名な話だが、本作の監督ロジャー・エイヴァリーはなんと同じ店でタラとは仕事仲間にして親友という間柄とのこと。本作に流れるテイストはまさしくタラと映画への価値観を共有した者だけが持つ正調タラ味だ。
ただ世界観やセンスは悪くないのだが、脚本と演出が明らかにイマイチ。思い浮かんだアイデアを練り上げ不足のまま撮ったような煮えきらない雰囲気が終始つきまとい、どうにも突き抜けない中途半端感が強い。同じベクトル線上にあるとはいえ、完成度では一連のタラ作品には及ばない。
キャスティング面では「良い人」なだけの役どころの地味なエリック・ストルツより、もうJ.H.アングラードの独壇場である。その狂気じみたブチ切れ演技の凄さはゲイリー・オールドマンとも遜色ないほどの圧倒的存在感でまさに代替不可能。日本では極端に知名度がないが、ヨーロッパでは名優として高い評価を確立している彼の実力を持ってすれば、このくらいの演技はお手のものだろう。
友人であるタランティーノの名前を借りて「製作総指揮」にクレジットしたのは作品の注目度アップを狙った戦略だっただろうが、結局はマニア向けのカルト作品として日本では永らくDVDリリースもなかった本作。いくらなんでもその扱いは不当過ぎる気がするし、初期のタランティーノのテイストが好きならそれなりには楽しめると思うがどうだろうか?
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