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木を植えた男 (1987)

L'HOMME QUI PLANTAIT DES ARBRES/THE MAN WHO PLANTED TREES

監督
フレデリック・バック
  • みたいムービー 47
  • みたログ 124

3.92 / 評価:37件

フレデリック・バック作品をまとめて鑑賞

  • りゃんひさ さん
  • 2011年8月20日 10時39分
  • 閲覧数 1009
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

都内のミニシアターで本作品を含めて4本のフレデリック・バックの短編アニメーションが公開されていますが、旧作を含めた9作品をDVDで鑑賞しました。

収録作品は
 アブラカダブラ(1970年/約9分)
 神様イノンと火の物語(1972年/約10分)
 鳥の誕生(1972年/約10 分)
 イリュージョン?(1975年/約12分)
 タラタタ(1977年/約8 分)
 トゥ・リアン(1978年/約11分)
 クラック!(1981年/約15 分)
 木を植えた男(1987年/約30分)
 大いなる河の流れ(1993年/約24 分)

年代順に観たので、フレデリック・バック作品の変遷が判り、非常に興味深かったです。

初期の『鳥の誕生』までは、ネイティブ・アメリカンの間で伝承される自然や神についての伝説を基にしたもの。
画の動きもそれほどでもなく、素朴な味わいです。

『イリュージョン?』から文明批判・文明に対する警鐘の色が濃くなってきます。
この作品では、田園の中の子供たちの前に現れたイリュージョニストが、子供たちの喜びそうなオモチャを無から取り出して、子供たちを魅了していきます。
ですが、ドンドンどんどんエスカレートして、遂には田園はがんじがらめの都市になってしまいます。
アニメーションの手法は、初期のものとあまり変わらないのですが、後半の色の使い方が恐ろしくて、幼い子供だと泣き出すのではありますまいか。

『トゥ・リアン』になるとアニメーションの手法が変化して、『木を植えた男』に繋がっていきます。
単純なデザインで表現される大いなるものと、カラフルな線描で表現される大いなるものに創造されたもの。
動物たちの動きもシーンもシーンシーンで途切れずに、一連の流れで繋がりながら変化します。
この「一連の流れで繋がりながら」時の経過を含めて描いていく手法がフレデリック・バックの特徴です。

『クラック!』
一脚のロッキングチェアとそれをとりまくひとびとの営みを通じて、カナダ・ケベックの文化歴史を描き、さり気なく現代文明への警鐘を描いた傑作です。
後の2本のようにナレーションも用いずに、柔らかい線描が動いていくこの作品を、りゃんひさは一番にお薦めします。
フレデリック・バックが米アカデミー賞を受賞した一度目の作品です。

『木を植えた男』
荒れ果てた大地、そこで独りでで黙々と木を植えつづけた男、荒れ果てた大地は大いなる森へと変貌をする。
フレデリック・バックが二度目のオスカーに輝いた作品です。
落ち着いた色彩の線描が、休むことなく動きつづけ、時の流れと空間を表現していきます。
圧巻のアニメーション手法ですが、それがゆえに、かえって観るものに好き嫌いが出てきてしまうかもしれません。
人間の持つ大いなる力を褒め称えることがこの映画の主眼です。
ですが、この偉業が人間の手でなく自然がつくり上げた誤った認識をしてしまう後年のひとびとを通じて、人間の浅はかさも描いています。

『大いなる河の流れ』
北米を流れるセントローレンス河を主役にした歴史の物語です。
『木を植えた男』以上に厚みのある画が、緩やかに、時に急激に流れていきます。アニメーションの技術は圧巻です。
しかし、現実を現実として丸投げされて終わるこの映画、主題を伝えることが先立ちすぎて、ちょっと息が詰まります。
フレデリック・バックは教育の現場で活用して欲しいと思って製作したようです。

9本の作品をまとめて(とはいえ数日に分けて)鑑賞しましたが、フレデリック・バック監督、古今のアニメーション作家が憧憬するのもわかったような次第です。

9作品まとめて★4つとしておきます。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • ロマンチック
  • 勇敢
  • 知的
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