超面白かった
- yuki さん
- 2019年6月1日 12時10分
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- 総合評価
大変面白い娯楽作だった。
髑髏島にたどり着いてからはノンストップで面白い。
ウィリス・オブライエンの特撮が素晴らしい。近景と遠景を効果的に使っていて、単なるストップモーションアニメに留まらない迫力を作り出している。
たとえば後景でコングが暴れれると、前景の(実写の)俳優たちが被害を受ける。USJやディズニーランドのアトラクションに乗ってるかのようなライド感がある。虚像と実像の繋ぎ目を感じさせない、見事な演出だ。
弟子のハリーハウゼンはアニメーションの動きに拘りすぎるきらいがあるが、オブライエンのそれはもっと映画的な効果が強い。アニメ作品ではなく、特殊効果として最大限の効果を狙う姿勢はとても職人的だ。
髑髏島への探検途中にヒロインがコングに奪われてしまうという、最低限のプロットでこの映画に必要なものをすべてつめこんであるのもすごい。まず髑髏島という舞台がとても魅力的で、恐竜・怪鳥、なんでもありの異世界探検としての面白さを抑えている。
ティラノサウルス?とコングの対決はとくに必見で、あの口腔を広げ顎を割るアクションは多くの怪獣映画に引用され続けている。近年のハリウッドゴジラのオチもあれでしたね~。
髑髏島とコングの関係性もいろいろと想像を掻き立てる余地があっていい。映画を撮りに原住民の地にズカズカと入り込むデナムたちは、インディアンを征服する開拓者のようにも見える。最終的にはしっぺ返しを食らうわけだが、2017年の半リメイク作でベトナム戦争を経た米兵たちが主役となるのは、なにか皮肉な意味を読み取ってしまう。
それでいて、本質的にはモテない男の片思い映画として見られるのも面白い。アンとジャックをイチャツイてるのをみてからコングは暴れだすんだよね。異形故に理解されない、というテーマはフランケンシュタインだったりエレファントマンだったり、普遍的な魅力がある。
エンパイアステートビルでのクライマックスは、それまでモンスターとして描いていたコングが一転して、科学力によって駆逐される悲劇の生物として描かれており、悲哀を与える。コングがそれまでの生き生きとした動きから、無機物のゴム人形のようにビルから落ちるシーンはとても印象的だった。
悲しいのは、最後までアンはコングの気持ちに答えてあげないんだよね。ここが明確に後年の2作のリメイク作と異なるところで、多様性が狭い時代の限界でもあるし、コングの悲哀をより強めるこの映画の良さでもある。
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