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蜘蛛女のキス (1985)

KISS OF THE SPIDER WOMAN

監督
ヘクトール・バベンコ
  • みたいムービー 88
  • みたログ 445

4.14 / 評価:119件

場合により「対話」そのものが生きる意味に

  • yam***** さん
  • 2018年1月23日 10時40分
  • 閲覧数 460
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

監獄に収監された二人の男

一人は少年に悪戯して捕まったトランスジェンダーの、モリーナ
本物の男を捜し続けているが、成就しない
愛に飢え、内面に空虚を抱え、傷ついている
愛に盲目で、政治や情勢のことは何も知らない

一人は共産主義の反政府組織に属する政治犯、バレンティン
愛する女を捨て活動に身を捧げた男
ブルジョアの女を愛した自分を偽善者だと自嘲する闘士
モリーナのことを何も知らないホモ野郎と罵倒する
理性では愛を捨て、感情では愛を捨てきれない男

組織の情報を握るバレンティンは凄惨な拷問を受けている
食事に薬物を混ぜられ腹痛と下痢に苦しむバレンティン
下痢を失禁したバレンティンの下の世話をしてやるモリーナ
男としての沽券、尊厳にばかりこだわっていた自分を恥じるバレンティン
モリーナの献身的なやさしさと寛容さは徐々にバレンティンの心を開かせていく

モリーナは所長からバレンティンの情報を聞き出す事を条件に、早期保釈を持ちかけられる
彼女には年老いた母がおり、体調が思わしくないと告げられる
彼女は取引に応じる姿勢を見せ、所長を欺し、様々な食糧を手に入れる
手に入れた食糧でささやかなパーティを開く監獄の二人
住む世界も思想も異なる対照的な二人は相互理解を進め、愛し合うようになる

多くのシーンが二人きりの牢獄の中での対話のシーンであり、延々と対話が繰り返される
赤裸々で意味のある対話ができる相手がいることは幸せなことだ
状況によっては、対話そのものが生きる意味にもなりうる

1.モリーナが語る、昔観た映画のストーリー
2.モリーナが語る、本物の男との思い出
3.バレンティンが語る、愛した女性との思い出
4.モリーナが語る、孤島に暮らす蜘蛛女と漂流者の寓話

1.祖国を裏切り殺された美しいフランス人の映画
ナチス占領下のフランス
主人公の女性は美しいシャンソンのスター歌手で、密かにレジスタンスに協力している
彼女はナチスの将校と恋をする
ナチス将校は美しくエレガント、レジスタンスは貧相で醜く描かれる
将校の男はブルジョアを打破し貧困から世界を救うという高尚な目的を女に語る
モリーナは最高の恋愛映画として語るが、ユダヤ人のことをトルコ人と勘違いしている
バレンティンからは唾棄すべきナチス賛美映画だと怒られる

4.自分で自分を閉じ込めた蜘蛛女の寓話
孤島に暮らす黒いドレスの蜘蛛女は、自分が吐き出す糸に囚われている
漂着した男を献身的に介抱し、命を救う
蜘蛛女の目から涙が流れ落ちる

所長らの計略でモリーナは釈放される
バレンティンはモリーナに組織への連絡を頼み、怖がるモリーナを励ます
「誰にも踏みにじられるな。お前を踏みにじることなど、誰にもできない」

釈放されたモリーナはビールを愉しみバスの窓から見える街並みの風景を愉しむ
久しぶりの母との対面、友人たちとの再会を愉しむ
そして身辺整理を終え、バレンティンとの約束を果たすため組織に連絡を入れる

警察の尾行に気づいた組織の女性はモリーナに発砲する
倒れたモリーナは警官の車に引きずり込まれ、組織の連絡先を教えれば病院へ連れて行くと言われるが、何も言わずに目を閉じる
最後にモリーナの脳裏に浮かんだ顔は誰だったのか、語られない
モリーナはゴミ捨て場に捨てられる

牢獄のバレンティンはさらに激しい拷問を受け、病院のベッドでモルヒネを打たれる
幻覚の中で愛する女性マルタと再会し、二人は小舟で海へ漕ぎだしていく

信じた愛に命を捧げたモリーナと、
信じた革命に命を捧げても愛を忘れられない男、バレンティン
どちらも報われない
報われないが、二人の対話はお互いを救ったのかも知れない

トランスジェンダーのモリーナをウィリアム・ハートが熱演している

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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