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グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版
2010年8月7日公開

グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版

LE GRAND BLEU: VERSION LONGUE

R15+1692010年8月7日公開

alpha

5.0

ネタバレそこにしか生きられない男

夏になると繰り返し観る映画。 初めて観た時はどうしてもラストが腑に落ちず。 子供まで授かったのに、なぜそこまでして海に潜るんだ? こいつは狂ってるのか?と ジョアンナと同じ気持ちでした。 消化出来なかったのでもう一度観て、 時間が経ってからまた観て、男女で見方が違うだろうということで納得しました。 男はいつまでも自分の生きる意味を 追い求めていたかったりする。 それらを海に見出せ、そこに身を捧げられたジャックはある意味幸せだと思います。 そんな男を好きになってしまった人は漏れなく苦労する訳ですが。 作中にも、「結局女が(子供を)育てるのよ」という台詞があります。 男はいつまでも子供なのよってことですね。 ラスト、ジョアンナはジャックを海へ送り出す。 もういいわ、わかった。 どうしたってあなたを止めることはできない。 行ってしまいなさい。 と言う様子でしたが、 静かな海の底で、本当の居場所は 自分のところだと気付いて戻ってきてくれると わずかに信じたい気持ちがあったのでは? と思うと、なんとも報われない気持ちになります。 ラストは色々な解釈ができますが、 やはりジャックは海へ還ったと思います。 ジョアンナのことは愛していたし、 子供のこともジャックなりに 嬉しい気持ちはあった。 けれど、彼は海でしか生きられない。 ジャックは子供ができたことで、むしろ 海へ還ることを決めてしまったところもあるのでは。 僕がマイホームパパになる? いや、海で生きる以外考えられない、と。 多分、彼を人間界へ繋ぎ止めていたのは エンゾとジョアンナだけ。 エンゾを失い、 ジョアンナに子供を託したことで 人間界への未練がなくなったのかもしれません。 子供は自分を愛してくれたジョアンナへの形見であり、 自分がいた人間界への最期の贈り物。 未練がなくなったが故、人魚に逢いに行くことを決めてしまった。 彼女は悲しむでしょうが、 きっといつか理解すると思います。 いずれはこういう結果になったと。 穏やかで幸せな家庭という夢を、ジャックにも一緒に見て欲しかったけれど、最後には彼の生き方を許し受け入れる。 それもある意味、ジャックの愛した海のような、 母のような深い愛ではないでしょうか。 このラストに続きがあるとすれば。 生まれてきた女の子(ジュリエット)といつか海へ行き ああいう人を好きになっちゃだめよ、と ため息混じりに微笑むシーンが思い浮かびます。

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