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グリード (1924)

GREED

監督
エリッヒ・フォン・シュトロハイム
  • みたいムービー 11
  • みたログ 47

3.95 / 評価:19件

切り裂かれた天才

  • yiy******** さん
  • 2007年12月14日 3時04分
  • 閲覧数 256
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

本作は、もともと9時間を超える大作だったところを、製作者側によって2時間程度に切り詰められてしまったという、いわく付きの作品である。はっきり言って、不自然な編集や、素人目にも下手クソなのが分かるカット割りが目立つのだが、それでも映像は圧倒的な迫力をもって見る者の胸に迫ってくる。これが「天才」ということなのだろうか。

印象深い演出は数え切れない程ある。例えば、2人の最初の出会いから、キスに至るまでの濃厚な時間。雨の中、汽車が轟音を立てて疾走する駅でのプロポーズ。結婚式では向かいの道路を葬列が通り、花嫁が初夜で逃げ出してしまうという不吉な生々しさ。鳥かごを狙う猫の超クロースアップ。貧しさの中で次第に狂気を湛える二人。ベッドで金を数える「貪欲」な妻の手は、どこか表現主義的な匂いを感じさせて、不気味である。そして、恐らくこの映画の最大の見所と言えるのが、クリスマスの夜に夫が妻を殺害するシーン。後のフィルムノワールを予感させる陰鬱な美しさだ。さらに、スタッフに死者が出たというデス・バレーのシーンと、衝撃的なラスト。登場人物の誰一人として、いわゆる「美男美女」ではないことも、魅力のひとつだ。「映画はスターを見せるためのもの」という神話がまかり通っていた時代にあって、これは革命的なことだったろう。ネオレアリズモまで、あと一歩どころか、指先ひとつ動かすだけで手が届きそうだ。

監督がどこまでマジだったかを想像するのも、楽しみ方のひとつだ。たとえば、次第にやつれていく夫婦は、演技なのか、実際にやつれているのか?ラストで馬を殺すシーンがあるが、実際に射殺されたのだろうか?この緊張感こそ、リアリズムというものだ。

これだけでも十分すぎるほど先見的で濃密なのに、実際にはこの5倍の分量があったというのだから、驚きだ。つくづく、ディレクターズカット版が見れないことが惜しまれる。

詳細評価

物語
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