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グリニッチ・ビレッジの青春 (1976)

NEXT STOP, GREENWICH VILLAGE

監督
ポール・マザースキー
  • みたいムービー 10
  • みたログ 56

3.80 / 評価:16件

上昇志向だけの人は魅力がない[映画guide]

・・・というのが第1の感想だ。主人公のラリーは、スターになることが最高の目標で、また(幸か不幸か)芸達者なのでそれでやっていける。人への善意や、美や、真実の追求にはあまり関心がないという主人公なのです。ラリーだけでなく、芸術家志望の若者が集まるグリニッジビレッジ地区の、周りの人々も、本能的だったり、冷淡だったり、人生に絶望していたりで、ドラマにはなるが魅力に乏しい。

そのため、この映画は、青春映画でサクセスストーリーで、コメディ風のシーンも多いのに、気味悪いほど、不安や空虚さが漂う。才気ある若者たちのやり取り、下町の風情はおもしろいのだけれど。

いろいろ理由はあるだろう。アメリカが芸術家志望の人々にとっても、厳しい競争社会であるという現実。自分なりに善意を育み、美や真実を探し求める余裕はない。従来のメインストリームに乗って卓越した技術を示すか、あるいはメインストリームをまとめて批判するかで、自分を目立たせ、売り込まねばならない。(アメリカの現代美術や、社会科学でもその傾向があって、悲しい。)また、1950年代前半、アメリカ社会は格差が大きくなお貧しかった。自由に生きるためには経済的条件が不足していた。主人公は、おそらくナチスから逃げてきたユダヤ系移民の3代目。俳優の卵への奨学金もなさそうで、『レボリューショナリー・ロード』に描かれた妊娠中絶の厳しい場面も登場する。さらに主人公に実は影響している母親も、愛すべき面もあるが、感情的で自己中心的な人だ。

この映画で痛切に分かるのは、当時の、芸術家を目指すための厳しい現実と、その中で人間性を求めながらも失われる面がある、という状況だ。演劇の私塾や、高倍率のオーディションの場面は、そういう意味で教訓になる。オーディションの待合室で文句言ったりすると、それだけでもう落とされてしまう。・・・気をつけましょう。

現実感があり競争社会での処世術を教えてくれるが、正直言って、後味の良い映画ではなかったです。

 <私が好きな青春映画>
は、(上昇志向もあれば面白いが、)やはり主人公たちが「真・善・美」のような価値を自分で見つけようとする作品です。時代が後になるほど、社会が豊かで寛容になり、自由に、フレンドリーに生きようとする人々のための余裕が出てくるようです。
とても、ありがたいことです。

 ・19世紀後半が舞台・・・『チェホフのかもめ★』
 ・1960年代が舞台・・・『アメリカン・グラフィティ★』
 ・1970年代・・・『妹』『色即じぇねれーしょん★』『もう頬杖はつかない』(以上、日)、『イージー・ライダー』
 ・1980~90年代・・・『キャリアガールズ★』『マーサ・ミーツ・ボーイズ』(英)、『友達の友達』『緑の光線★』(仏)、『シングルス★』『サティスファクション★』
 ・2000以降・・・『ブリジットジョーンズの日記』『ひかりのまち』(以上、英)、『ロシアン・ドールズ★』(仏)、『イン・ハー・シューズ★』、『幸せの教室』、『フレンズ』(テレビシリーズ)
(日英仏など付いていないのはアメリカ作品。★はレビュー済みです。)

詳細評価

物語
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