ここから本文です

グレート・ウォリアーズ/欲望の剣 (1985)

FLESH & BLOOD/FLESH+BLOOD

監督
ポール・ヴァーホーヴェン
  • みたいムービー 7
  • みたログ 31

3.65 / 評価:17件

全然グレート(偉大)ではないウォリアーズ

  • 一人旅 さん
  • 2016年8月11日 21時22分
  • 閲覧数 1098
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ポール・ヴァーホーヴェン監督作。

16世紀初頭の西ヨーロッパを舞台に、領主アーノルフィニに裏切られた傭兵マーティンと仲間たちの復讐を描いたアクション。

ポール・ヴァーホーヴェンのアメリカ進出第1弾で、ヴァーホーヴェンらしいバオレンスとエロスに溢れた作品。主演はヴァーホーヴェン映画に欠かせない、オランダを代表する名優ルトガー・ハウアー。主人公マーティンらによって人質にされる貴族の娘・アグネスを『ヒッチャー』『黙秘』のジェニファー・ジェイソン・リーが演じる。製作当時20代前半のジェイソン・リーが魅せる色白ヌードを拝める作品でもある。胸を強引に揉みしだかれるシーンや強欲的な傭兵たちに輪姦されるシーンなど、なかなかの体当たり演技を見せる。

ペストの流行など、中世ヨーロッパのような混沌とした空気が充満した作品であり、本サイトの解説にも「中世騎士道アクション」と記載されているが、時代設定は16世紀初頭であるため中世から近世への過渡期あたり。しかも、騎士道とは真逆の、野蛮を極めたような連中が画面狭しと大暴れする。ストーリーは中世から近世への価値観の変化を暗に仄めかした内容になっている。

主人公マーティンや領主アーノルフィニは中世を象徴する人物として描かれる。マーティンら一味は地中から偶然発見した聖人の像を崇拝したり、預言者的人物が仲間内に存在するなど、信仰に縛られた中世的な価値観に支配されている。
それに対し、アーノルフィニの息子・スティーブンは一般的に近世の始まりとされるルネサンスを象徴する人物。先端の学問を学ぶことに熱心な若者で、アーノルフィニのお抱え医師の医療法を「時代遅れ」と言い放つ。そして、暴力だけで権力を誇示する父親に対し反発心を露わにする。スティーブンは近世的な価値観を備えた唯一の人物で、欲望丸出しのその他連中とは違って理性的で道徳的。

マーティンが主人公だが肝心の主人公感はほとんどなし。“裏切られた傭兵の復讐劇”と聞くと傭兵側に正義がありそうに思えるが、全然そんなことはなかった。マーティンは普通に暴力的で欲深いし、問答無用でアグネスをレイプするという鬼畜っぷりを披露。だが、時おり正義感に則った行動を見せるなど、果たしていい奴なのか悪い奴なのか良く分からない。そのため、鑑賞者の感情移入の対象はマーティンではなくスティーブンになる。これ見よがしに愛し合うマーティンとアグネスの黒いシルエットをじっと見つめるスティーブンの姿が屈辱的で可哀想で...。クロード・シャブロルの『いとこ同志』を彷彿とさせる悲しいシーンだ。

そして、途切れることなく続く激し過ぎる演出・映像に圧倒される。修道女が剣で斬られて体全体がビクンビクン痙攣したり、ペストに罹って死んだ犬の肉片が宙を舞ったかと思えば、今度は井戸に投げ込まれてその水を飲んだ人間が悲劇に襲われたり...。特に衝撃的というか理解不能だったのは、腐った首吊り死体の目の前で男女がキスするシーン。これはロマンチック...なのか?ファーストキスを腐った死体に見届けられるのも嫌だし、何より強烈な“死臭”は大丈夫なの?ハエもぶんぶん飛んでるし。甘酸っぱいキスの味が生臭いキスの味になってると思うのですが...。う~ん、さすがですヴァーホーヴェン。

それにしても、ヴァーホーヴェンが撮る映画はどうしてこんなに騒々しいのか。『女王陛下の戦士』や『4番目の男』などのオランダ時代の作品は比較的大人しいのに、アメリカに渡った途端に急に作風が激しくなったと思う。とはいえ、アメリカ時代の作品の方が個人的にはずっと好み。『トータル・リコール』や『スターシップ・トゥルーパーズ』は好きだし、ラジー賞を受賞した『ショーガール』だってお気に入りの作品だ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 楽しい
  • ロマンチック
  • 不思議
  • パニック
  • 恐怖
  • セクシー
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ