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刑事コロンボ/二枚のドガの絵

刑事コロンボ/二枚のドガの絵

COLUMBO: SUITABLE FOR FRAMING

74

Kurosawapapa

5.0

シリーズ最高傑作☆刑事コロンボは不滅です

NHKのBS放送で、今年の3月3日まで、足かけ3年に渡り、 「刑事コロンボ」「新・刑事コロンボ」全69話が放送されました。 37年前に小学生の時にハマって以来、お気に入りのシリーズを、今回ほぼ全作鑑賞することができ、報恩謝徳。 このレビューに、自分の “コロンボ愛” を込めます(^^)  (*長文です) 刑事コロンボは、ドフトエスキーの「罪と罰」の判事がモデルで、舞台劇からのスタートでした。 素晴らしさは、皆さんご存知の通り、やはり味わい深いキャラクターにあります。 よれよれのコート、メモ魔、ポンコツの愛車、飼い犬、カミさんの存在など。 また、 ●コロンボが好きなもの コーヒー、 葉巻、 アイスクリーム、 仕事、 チリビーンズ(豆抜きでもOK)、 読書 ●コロンボが嫌いなもの 飛行機、 血、 ぬるいコーヒー 他にも、自分が発見したトリビアは、 飼い犬もアイスが好き、 カミさんは歌と踊りが上手、 コロンボは拳銃を持たない、 泳げない、 春のアレルギーである、など。 そして犯人は、いつも特権階級の人物であり、その完全犯罪を打ち破るのが定番でした。 また、最大の特徴は、あらかじめ犯人を見る側に知らせ、追いつめる過程を描く “倒叙形式” にあります。 倒叙を選択した理由は、脚本家の視点から、以下の理由があったそうです。 ・刑事とともに、犯人をメインにできる ・犯人を後から確定していくパターンだと、容疑者全員に同レベルの俳優を起用しないといけなくなるが、スターは1人(犯人役)ですむ ・脚本を犯人の気持ちになって書ける また、コロンボは、よく「カミさん」と言います。 英語だと「 My Wife 」と言っているだけで、これをどう日本語に訳すかと考えた時、 コロンボは奥さんのことを誠実で愛しているけど、畏怖の念も持っている、という点から、 「カミさん」になったそう。 他にもコロンボの口癖は、 「よござんすか?」 「しっちゃかめっちゃか」 「縦から見ても横から見ても」など。 「よござんすか」なんて、アメリカ人は絶対言わないわけで、翻訳家の苦労を多々感じるわけです。 さて、「刑事コロンボ」全作品中、最高傑作がこの「二枚のドガの絵」です。 高額な絵画を相続しようと、伯父を殺害する犯人。 しかし、その動機は、元妻という相続人がいるため明らかにされず、 第2の殺人後、相続人に罪を被せるという3重の犯罪によって、本心が明らかにされます。 冒頭からコロンボの適格なツッコミに、怒りを露にする犯人。 起承転結が明瞭で、グイグイと引き込まれる展開。 「刑事コロンボ」には、 決定的証拠を得るため、コロンボが一芝居うって新しい証拠を得るパターンがありますが、 それよりも本作のように、 全てのヒントを観客に見せておいて、そこから犯人を確定させる方が、驚きと感動があります。 犯人の会話の一部であったり、些細な行動など、 途中、観客も見過ごしてしまうようなヒントを組み立て、あっと驚くような答えを導くカタルシス。 そして何といっても、本作の決めてが素晴らしい! 最後に犯人が「えっ?」と言いますが、 見る側も「えっ?」と言ってしまうほどの、圧巻の証拠! 本作は、シリーズを知らない方も、必ず満足いただける作品かと思います。 第1話の「殺人処方箋」が1967年、 第69話の「虚飾のオープニング・ナイト」が2003年。 ピーター・フォークは、40歳から76歳まで、36年間コロンボ役を勤めました。 「死者のメッセージ」という作品で、 コロンボが、大勢の前で即興のスピーチを披露する場面があります。 最後に、それを書き留めます。 === 私はこの仕事が大好きでしてね、 憂鬱になることはありません。 世界中に、犯罪や殺人犯が満ち溢れているとも思いません。 皆さんのようないい方が一杯ですし、刑事をやっていたからこそ、皆さんにもお目にかかれたわけですし。 私は人間が大好きです。 今まで出会った殺人犯の何人かさえ、好きになったほどで、、、 時には、好意を持ち、尊敬さえしました。 やったことにではありません。殺しは悪いに決まっています。 犯人の知性の豊かさや、ユーモアや、人柄にです。 誰にでもいいところはあるんです。 ほんのちょっとでもね。 これは、刑事が言うのですから、間違いありません。 失礼しました。 === 「刑事コロンボ」というドラマの真髄を表現したようなスピーチ。 コロンボは、刑事という仕事を、そして何よりも人間が大好きだったのです! コロンボよ! 永遠なれ☆ そして、ありがとう! ピーター・フォーク。

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