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悪魔の追跡 (1975)

RACE WITH THE DEVIL

監督
ジャック・スターレット
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  • みたログ 138

3.61 / 評価:64件

主人公を取り囲む閉塞感の為せる業

  • カナボン さん
  • 2008年10月5日 22時11分
  • 閲覧数 533
  • 役立ち度 19
    • 総合評価
    • ★★★★★

「ミスト」でも強烈な描き方でしたが、宗教がらみのホラー映画って格別の怖さをもたらします。今日はこの恐怖に鮮烈なカーアクションを盛り込んだ佳作、

今日のお題目は「悪魔の追跡」です。

問題作「ミスト」の賛否両論の膨大なレビューの数々、もちろん私自身もレビューさせていただいておりますが、その中の意見に、一番怖いのは人間かも知れないというものが多数ありますね。私自身も実にこの意見に同感です。

本作は悪魔教の生贄の儀式を偶然目撃してしまった、二組の夫婦の絶望的な闘いと逃避行を描いた作品です。一応ジャンル的には、70年代オカルトブーム中に作られた一本であるのですが、このどこまでも追ってくる盲信的な悪魔教の信者たちの怖さは半端ではありません。

同じオカルトでも名作、「エクソシスト」や「オーメン」は悪魔そのものを描いており、完全にフィクションとして鑑賞できます。
しかし、本作で主人公たちに襲いかかるのは、空想的な産物の悪魔ではなく、我々と同じ人間なのです。非常に現実的な恐怖を感じさせる映画といえますね。

導入部で、久しぶりに休暇を取れた二組の夫婦が、豪華なバスサイズのキャンピングカーでドライブに出ることになる。オフロードバイクでの楽しいチェイスシーンなどを盛り込み、日常の堅苦しさから解放された、おおらかで平和的なシーンの描写が続きます。
しかし、問題の儀式を目撃してしまった時から、この雰囲気は一転。絶望的な恐怖感が映画を支配することになります。

余所者の彼ら、特に女性ケリーを見つめる人々の視線がゾッとします!恐ろしい前夜の経験からの被害妄想なのでしょうが、彼らが接する人々全てが悪魔教信者たちじゃないかと思えてしまうほどのジリジリ感!

ペットの犬が殺され、激しい怒号を放つロジャーを、ただ遠まきに無言で眺めるオートキャンプ場の人々の不気味な雰囲気。
そしてキャビネットに隠されていた2匹のガラガラヘビの登場!この毒蛇とロジャーとフランクの闘いも、すごいスリル満点の描写です。

そして物語終盤のカーアクション!
今思えば、「マッドマックス2」の原点ともいうべき、上質のカーアクションではないでしょうか。
激しい車と車のぶつかり合い、炎上して橋から落下する車、何回転も横転するセダンなど、現代でも十分通用する迫力です。

しかしこの映画では、カースタント自身は非常に秀逸な出来にもかかわらず、カーアクション映画には特有の爽快感がまるで感じられないことは、特筆すべきことです。これはスピルバーグの初期の名作「激突!」にも当てはまることだと思いますが、この追い詰められたシチュエーションから必死に抜け出そうという、主人公たちを取り囲む閉塞感の為せる業なのでしょうね。

主演は、アメリカンニューシネマの大スター、ピーター・フォンダと、男臭さでは指折りの名優、ウォーレン・オーツ。この二人が実に息の合ったコンビネーションを見せてくれます。
殊に、フォンダのライディングテクニックを堪能できるサービスには思わず顔がほころんでしまいます。
かたや、ショットガンをぶっ放すオーツの渋さ!主役二人の男優の良さを十二分に発揮させる演出、なかなかのものですね。

前述しましたが、彼らをどこまでも追いかける盲信的な悪魔教の信者たち、偽の交通事故まで装って、知能犯的な側面も見せます。こんなやつらに追いかけられたら・・・ホントたまったものじゃありませんw。
実際精神的に追い詰められて、泣き叫ぶ女優陣の演技も非常にリアルで、言うことなしですね。

この逃げても逃げても、決して逃れられない恐怖。間違いなくベトナム戦争の悪夢からなかなか抜け出せないアメリカの当時を暗喩しているかと思われます。

製作費の低予算から、B級であることは間違いないですが、A級のスターを二人も主役に据えたある意味豪華すぎるB級ホラー。
70年代の世相を反映しつつ、十分現代でも視聴に耐えうる隠れた名作だと思います。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • ゴージャス
  • パニック
  • 不気味
  • 恐怖
  • 勇敢
  • 絶望的
  • かっこいい
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