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月光の女 (1940)

THE LETTER

監督
ウィリアム・ワイラー
  • みたいムービー 3
  • みたログ 14

4.00 / 評価:4件

月夜が照らす女の情念

  • gar***** さん
  • 2011年6月29日 22時14分
  • 閲覧数 534
  • 役立ち度 9
    • 総合評価
    • ★★★★★

舞台は、イギリス統治下のマレーシア。ゴム園経営者の妻レスリー(ベティ・デイヴィス)は、ハモンドという男を射殺した。事件当初、正当防衛を主張した彼女に夫のロバート(ハーバート・マーシャル)と弁護士のジョイス(ジェームズ・スティーヴンソン)も信じる。しかし、レスリーがハモンドに宛てた手紙が出てきたことで、事態は急変し…
サマセット・モームの戯曲『手紙』を映画化した作品。本作以外にテレビムービーも含め5回も映画化されているようです。
私事ですが、今回のレビューで400件目となりました。今年でこのレビューも5年を迎えました。これからも細く長く続けていけたらと思います。400件目を選ぶにあたっては、原点回帰ということで「クラシック映画」特にハリウッド映画にしてみようということでこの作品を取り上げます。
1930年代から50年代にかけて、ハリウッド映画のドル箱といわれるジャンルがありました。一つはMGMが得意としたミュージカル映画。『雨に唄えば』や『巨星ジーグフェルド』など絢爛豪華さが売りでした。そしてもう一つが、「女性映画」といわれるジャンルです。いわゆる女性を主人公にし、女性の観客をターゲットにしたジャンルです。女優の美しさや洗練されたファッションが売りのグレタ・ガルボやジョーン・クロフォードの出演作。舞台仕込みの演技力を見せるキャサリン・ヘプバーンの出演作などが代表的です。そんな女性映画の中で、最高峰といわれるのがベティ・デイヴィスの出演作です。ハリウッド史上屈指の演技力と強烈な個性(本人曰く「怪物のように思われなければハリウッドじゃやっていけない」)を持った女優デイヴィスの本領発揮といえるのが本作です。
映画はいきなり殺人事件からスタートします。最初、見ている人は彼女の供述に同情を持ちます。しかし、手紙の登場で状況は一転します。気の毒な被害者が、疑惑の女に変わる瞬間をデイヴィスは見事に演じています。特にその凄さを感じたのが、刑務所での弁護士との面会シーンにおける弁護士に手紙のことを告げられてからの演技です。正当防衛の被害者が一転していく様子をオーバーアクトにならず自然に表現できるディヴィスの演技力は凄まじいです。演技の力を感じ取れたシーンです。
そんなディヴィスを支えるのは、共演者と衣装です。共演者としては、夫役のハーバート・マーシャルとハモンドの妻である混血の女を演じたゲイル・ソンダーガードです。前者は、二枚目ながらアクがなく悪く言うと無個性な感じを与えます。しかし、そのアクのなさがデイヴィスと共演すると生きてくると思います。彼の支えがあるからこそ、デイヴィスも思う存分発揮できていると思います。そしてソンダーガード。アカデミー助演女優賞の記念すべき第一号にして1930年代から40年代において、「助演の女王」といえる存在感を発揮した名脇役です。彼女の当たり役は中国や東南アジアなど東洋人役。エキゾチックな美貌と無表情さが何とも不気味なオーラを発します。特に素晴らしいのは、夫が出した手紙と引き換えにレスリーからお金をもらう取引の場面。一言もセリフを発さない損だーガードの存在感は、デイヴィス同様強烈です。
そして衣装。この映画は、「ディヴィスの名相棒」といわれたデザイナー、オリー・ケリーの仕事です。1930年代、デイヴィスは決して「美しい」と讃えられるような女優ではありませんでした。美貌のスターが幅を利かす中で、デイヴィスを最も理解していたという名デザイナーがケリーでした。彼の信条は、「女優の演技を手助けする衣装を作る」というもの。デイヴィスがレスリーになりきる上で、彼の衣装の力は無視できないと思います。特に素晴らしいのは、ハモンドの妻に会いに行くために、夜弁護士と外出する時のレスリーの衣装。頭をすっぽり覆うヴェールが実にエレガントで美しいです。まさに衣装の芸術といえる素晴らしいものでした。キャラクターを生かす衣装にも注目です。
月夜が照らす女の情念を名女優の力で描きだした女性映画の名作。ベティ・デイヴィスの面目躍如です。
<大酒飲みの天才>
デイヴィスの名相棒といわれたデザイナー、オリー・ケリー。彼もまたデイヴィス同様強烈な個性で知られた人です。その彼を語る上で外せないのが、酒。大酒飲みで知られたケリーは、酒絡みのトラブルは無数にありました。特に有名なのは、所属するワーナーブラザーズの社長室のエピソード。彼は、ワーナーの創始者で「独裁者」ともいわれたジャック・ワーナー社長ともよく口論をしていたようです。大抵怒ったケリーが社長室から出ていくのですが、酒が入っていると社長室のドアを壊してしまうことがありました。その回数50回以上。社長秘書は、ケリーが来るたびにドアの修理を頼んでいたようです。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不気味
  • 絶望的
  • 切ない
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