プレイボーイの行く末
- rup***** さん
- 2015年11月5日 22時48分
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フレッド・アステアとデビー・レイノルズが共演しているシーンを見ると、MGMミュージカルを観ているような気分になりますが、本作は、ウィリアム・パールバーグ&ジョージ・シートンの製作&監督コンビによるプロダクションの映画(パラマウント配給)で、アステアとしては「渚にて」に次ぐ非ミュージカルの作品です。
舞台劇の映画化で、脚本はシートン自身ではなく、原作者の1人であるサミュエル・テイラーが担当しています。外のシーンも多く取り入れて舞台臭を感じさせないのがよく、シートン監督が手堅くまとめています。
長年音信不通だったアステアが娘のデビーが結婚するとの知らせを受け、母親リリー・パルマーが再婚相手の男性(ゲイリー・メリル)と娘デビーの3人で暮らしている家へ突然姿を現すのですが、父親を敬愛するデビーは大喜びで父アステアにべったり。婚約者(タブ・ハンター)もそっちのけで父と和気藹々としている姿にハンターも気が気でなくなります。
アステアが演じるのは、数か国語を駆使する(CAさんに話しかける片言の日本語はご愛嬌といったところですが・・・)粋な女たらしといった風情の初老の男で、前作「渚にて」のシニカルな科学者とは異なり、ダンスの名手たるアステア本来の持ち味を活かした配役です。パーティーのシーンでは、デビーやパルマーと軽く踊るだけでも流れるような足の運びに魅了されます。
さらに、パルマーには"Lover"の曲を口ずさんだりして粉をかけるというプレイボーイっぷりで、先妻のパルマーも満更でない様子に現在の夫メリルもやきもきするというタチの悪い男を軽妙に演じるアステアが素敵です。
美しく成長した娘との失われた時間を取り戻そうと画策するアステアに、デビーが結婚式を延期してアステアと1年間旅行に出ると宣言するシーンがとても良く出来ています。勝ったと喜んだのもつかの間付きつけられた現実に愕然となるアステアがいい味を出していました。
ただ、これでしんみりとは終わらず、最終ラウンドがあります。転んでもただでは起きず、女たらしならぬ人たらしの本領を発揮する粋なアステア。歳はとってもまだまだ魅力的でした。
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