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月世界の女 (1929)

DIE FRAU IM MOND

監督
フリッツ・ラング
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  • みたログ 10

3.67 / 評価:6件

発射時のカウントダウンはこの映画由来!

  • bakeneko さん
  • 2020年9月23日 10時36分
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    • 総合評価
    • ★★★★★

フリッツ・ラングが、妻:テア・フォン・ハルボウが前年に出版した小説『Die Frau im Mond』を当時のドイツのロケット工学者のヘルマン・オーベルトの技術的補佐を得て映画化したもので、当時の科学知識の粋を集めた月旅行とその中での葛藤が描かれてゆきます。

青年科学者ヘリウスは、“月に巨大な金鉱がある”と主張して学界追放されたマンフェルト教授とそのペットのネズミ、彼が恋心を断ち切れない女性天文学者のフリーデと彼女の婚約者で親友のヴィンデガー、アメリカ人起業家ターナー、SFファンの密航者少年グスタフと共にロケット「フリーデ号」で月を目指す。博士の予言通り月は金の宝庫であったが、隊員同士の内輪もめから酸素ボンベの半数が壊れてしまい…というお話で、前半は搭乗キャラクターの説明、中盤は月旅行の詳細、終盤は金塊争いと全員は地球に還れない事故による三角関係の葛藤劇となっています。
月に酸素があるという御都合主義以外は、現在の科学に照らしても正確な科学知識が採り入れられていて―
現在のロケットとほぼ同じ流線形のデザイン
燃料部分を切り離す多段方式
打ち上げ時に乗員は発射時の耐Gのため水平ベッドに横たわる
無重力状況で歩くための足固定用のフック
無重力下では水滴は球形になる
…といったことが1928年の時点で知られていたことが判ります。

また本作は、地球に還れないという極限状況下での葛藤劇として、「宇宙からの脱出」や「アポロ13」、「サリュート7」の原型となったとも言えますし、宇宙の果てに来て愛の本質について悩む―「惑星ソラリス」も連想させます。

1928年の時点で月旅行の概略が出来上がっていたことに驚かされる作品ですが、1902年のジョルジュ・メリエスの映画の様な奇想天外な月世界がその後登場しなくなったことは、ちょっと寂しい気がします…。

ねたばれ?
1、本映画は、V2号を開発した宇宙旅行協会のヴェルナー・フォン・ブラウンたちの間でも大人気となり、最初の打ち上げに成功したV2ロケットの基部には「Frau im Mond」のロゴが描かれていたそうです。
2、宇宙船に乗り込んでからのアメリカ人起業家ターナーの髪形がまんまヒトラー(そうか、1928年時点ではナチスはまだ勢力が強大じゃなかったんだ!)
3、サンダーバードの製作者は本作(水中からロケット発射)を参考にしたのかな?
4、タイトルの“月世界の女”の“女の正体”のネタは、後にレイ・ブラッドベリが名作「火星年代記」のラストエピソード:百万年ピクニック (The Million-Year Picnic)に反映させています。

詳細評価

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