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原子怪獣現わる

原子怪獣現わる

THE BEAST FROM 20,000 FATHOMS/PANIC IN NEW YORK

80

cyborg_she_loves

3.0

特撮は合格点です、が……

特撮は十分に合格点だと思います。  カクカクしたストップモーション撮影の動きに文句をいう人も多いようですが、それを言うなら逆に着ぐるみは、人間の体形と大きく異なる生物を作れないという制限がある。「四つんばい」の着ぐるみ怪獣はどうしても「ひざ」で歩く不自然な生き物になる。  その点この映画のリドサウルスの造形は、ゴジラよりはるかに恐竜っぽさをうまく表現してます。  着ぐるみではありえない造形。  ゴジラは現実の恐竜とは完全に別物のモンスターですが、このリドサウルスは「恐竜が現代によみがえった」という設定をうまく映像化できてる。  この映画の満足度があんまり高くないのは、それ以外の部分の出来が悪すぎるからです。せっかくの高い特撮技術をぜんぶ台無しにしてる。  何より不満なのは、私みたいな怪獣映画ファンは怪獣が見たくて映画を見るのに、この映画では肝心の怪獣が本格的に暴れ出すのは80分の映画の最後の20分だけということ。  あと1時間は延々と、怪獣を見たと信じない人々をどうやって説得するかとか、物理学者のトムと古生物学者のリーとがイチャイチャするシーンとか、「そんなんどうでもええから早よ怪獣見せてえな」と言いたくなってくる。  (余談ですが、リー役のポーラ・レイモンドさんは、学者というよりホステスみたいな外見で、あーやっぱりこの時代のアメリカ映画は美男美女の恋愛話がどっかに入らないと観客は入らなかったのかなーとか余計なこと考えました。)  どなたかも書いてましたが、怪獣映画はパニック映画でもあるはずなのに、市民が全然本気でパニクってないのも致命的です。  だいたい、怪獣が建物を壊しまくってるのを見て群集が地下街へ逃げるって、それ、頭悪すぎない? (出入り口が瓦礫でふさがったらどうなるかぐらいも想像できないなんて)  ビルをめちゃめちゃに破壊してる怪獣にむかって拳銃ひとつで立ち向かおうとする警官とか、とにかく出てくる人々がみんな頭悪すぎます。  これ、製作者が民衆というものをどう見てるかが見事に表われてますね。科学者以外はみんなバカ、と製作者は思ってる。  不愉快。  てなわけで、ま、怪獣映画ファンの皆さんは、最後の20分ぐらいだけ見れば十分です。  それ以前の1時間は、この時代のアメリカ人独特の偏見が表われてるのをつきとめてやろう的な歴史学者モドキの興味があるのでもないかぎり、見なくていいと私は忠告しておきます。

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