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好奇心

好奇心

LE SOUFFLE AU COEUR/MURMUR OF THE HEART

118

じゃむとまるこ

5.0

ネタバレルイ・マルの”粋”

恋愛だの、男女の事情だのに関しては、フランス映画は伝統的に”粋”です。 特に、ルイ・マル監督は少年・少女を活写することに長けている監督です。 本作でも小生意気な思春期の少年の大人への一歩を、多分邦画ならこうは描けないだろうという爽快さで際どいお話を軽々と描いて見せてくれるのです。 三人兄弟の末っ子ローランはもうすぐ15歳の生意気盛り、まだまだ子供でお母さんべったりなんですが、二人の兄の薫陶よろしく好奇心は旺盛、なかなかな秀才で、背伸びして見せたいお年頃、女の子への好奇心も大いにあるのですが、ローランにとってはお母さんが一番。 このお母さんが、若くて魅力的で、しかもお父さんじゃない恋人がいたりして危ういことこの上ない。 お母さんは母であるけれど一人の女、そう意識するような危ういシーンに観客もハラハラします、なんだか盛り上がってくるんですね~演出が上手いです。 ローランの病気で出かけた湯治先のホテル、日常とは違う時間を過ごすうち二人は・・・ の近親相姦物、というと際どいお話のように思えますが、これがさすがというかフランス映画伝統の”粋”。 翌朝、「誰にも話しちゃだめよ、恥ずかしいことじゃない、美しい思い出として大切にしまって置きましょうね」、こんな言葉、日本人じゃ言えませんし似合いません。 で、”大人”になったローランはその夜に早速ホテルで知り合った女の子を口説いて回り朝帰り、いや~やりますよね。 その上パリからやってきた父と兄たちに朝帰りを見つけられ一瞬呆然、しかし全員大笑い、母も加わり、大人の仲間入りをしたローランを祝福するのです。 フランス映画独特の魅力があります、人生を語る、思春期映画でもそんなところがあるのです、1971年作ですが、実に瑞々しく爽快な味わいでした。 ルイ・マルは音楽センスがとても素晴らしく、ジャズやクラシック、どの映画でも話題になるのですが、本作ではチャーリー・パーカーのアルトサックスが軽々と流れます、最初は思春期の少年とパーカーの曲に違和感というか時代感を感じたのですが、映画の世界に浸ってしまうと、やはり曲選びのセンスの良さを実感しました。 お母さんが若くで結婚したイタリア人という設定がいかにもで、レア・マッサリが魅力的でした。

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