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絞殺魔

絞殺魔

THE BOSTON STRANGLER

119

bakeneko

5.0

ネタバレえ~と どの分割画面を観れば良いのかな…

アメリカ中を震撼させた、ボストン絞殺魔事件(1962~64年)を題材にして、1965年の犯人逮捕直後に映画化したもので、リチャード・フライシャー監督は多数画面分割や望遠&魚眼レンズなどの映像効果を駆使して、ドキュメンタリー感覚を取り込みながら犯人の視点も再現して見せてゆきます。 1962年からボストン市内で連続殺人事件が発生する。約1年半の間、上は75歳から下は19歳まで、白人と黒人の区別なく計13人の女性が異常な暴行を受けて殺害される事件に対して、捜査当局は検察局の学究肌の法律家:ジョン・S・ボトムリー(ヘンリー・フォンダ)を抜擢する。捜査側は異常者リストにある人物たちを片っ端から調べ、透視能力者まで参加させるが犯行は止まらない。しかし、ある事件から容疑者:アルバート・デサルヴォ(トニー・カーティス)が逮捕されるが彼は多重人格者で、犯行時の人格についての記憶が滑落していた。ボトムリーは医師の立会いの下でデサルヴォを尋問して“彼のもう一つの人格=犯人”を表出させようとする…というお話で、冒頭の(「ライトスタッフ」で描かれた)「マーキュリー計画」の凱旋パレードや犯人逮捕のきっかけとなった「J,F,ケネデイの葬儀」など、当時の時制を象徴する出来事が犯行と並行して提示されて臨場感を煽ります。 また、4分割した画面で事件現場の部屋の内外の様子を映し出し、部屋の中で倒れている犠牲者と外で部屋に入ろうとする発見者たちを同時に見せる映像では、犯罪に対する“神の目”的な視点を観客に供与していますし、終盤の尋問シークエンスでのデサルヴォの視る“ぼやけた長い部屋にぽつんと他人格の自分が佇んでいる”映像は彼の内面を映し出して見せてくれます。 劇中で次々と犯行が行われる“実録犯罪サスペンス”ですが、殺害&暴行の現場は描写されませんので、グロ描写が苦手な方でも安心して(?)捜査班の奮闘&犯人の凶行を俯瞰できる作品で、多重人格を演じるトニー・カーティスの熱演や、翌々年の「M★A★S★H マッシュ」でブレイクする前のサリー・ケラーマン(30歳)の被害者演技にも唸らされますよ! ねたばれ? 1,結局アルバート・デサルヴォの自白しか証拠がなかったために、検査側は事件の詳細をデサルヴォが思い出した―2人目のメアリー・マレンと9人目のメアリー・ブラウンについてのみ立件しています。前者は襲われた際に心臓発作で死亡、後者は死因が絞殺ではなく刺殺なので、“連続絞殺魔”検挙とは言えないものでした。 2,エンデイングナレーションにある様に、本作が作られた時点ではアルバート・デサルヴォは存命でしたが、1973年11月26日、収容先のマサチューセッツ州ウォルポール刑務所の独房で刺殺体となって発見され、犯人は現在まで不明となっています。

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