ここから本文です

荒野の決闘 (1946)

MY DARLING CLEMENTINE

監督
ジョン・フォード
  • みたいムービー 37
  • みたログ 401

3.89 / 評価:131件

題名は勇ましいがセンチメンタルな映画です

  • shinnshinn さん
  • 2020年12月18日 9時52分
  • 閲覧数 173
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

1946年劇場公開のジョン・フォード監督作品。個人的には同監督の西部劇の金字塔「駅馬車」(39)よりも<しっとりとした風情>があって面白いと感じました。本作は敗戦後の翌々年(1947年)には日本でも劇場公開されています。当時は確か<仇討ち物>はご法度のはずだが、<弟の敵討ち>のような内容でもある本作を、なぜGHQが上映許可したのか・・・。悪に対するアメリカの理想の姿勢を示したかったのか・・・?ヒロインに対する民主的で真摯な態度を知らしめたかったのか・・・?


アメリカの銃で解決しようとする信念は今でも変わっていないのだが、とにかくこの映画、日本人には大いにウケたらしい(この変わり身の早さには生命力を感じる)。戦後はアメリカからの民主的な映画が怒涛の如く大量に輸入上映されることにより、一気にアメリカ信者が増える事になる(戦時中に輸入出来なかった、優れた作品も厳選されて入って来たので、作品のクオリティレベルがとても高かったと小林信彦氏が言っていました。それで、多くの日本人がハハーとなったのだ)。意外にもその信者の血脈が未だに自民党に流れているんじゃなかろうか?と、フト思う時がある。


主演のヘンリー・フォンダの飄々とした力まないお芝居のおかげで、実に魅力的な主人公ワイアット・アープに仕上がっています。一方、陰鬱で死の影が常に付きまとうドク・ホリディをビクター・マチュア(ラテン顔の男前で、映画でもモテモテです)が雰囲気たっぷりに演じます(ビクター・マチュアは名優ではないかもしれないが、本作ではかなり善戦しています。決してヘンリー・フォンダにも喰われていませんでした)。<ジョン・フォード・ポイント>という言葉が残っているほど、フォード監督が如何にモニュメントバレーに惚れ込んでいたかも分かります(実にいい絵が撮れているのだ。特にラストの構図は素晴らしい)。


今回見直すと、自分の淡い記憶とは違い、割と恋愛のパートの比重も重いですね。淑女クレメンタイン(キャシー・ダウンズ・清純で凛々しい)と歌姫チワワ(リンダ・ダーネル・アダっぽく情熱的)、二人の女の対比が面白く、ジョン・フォードが女性を描くのは珍しいと感心いたしました。当時、清潔感あふれるキャシー・ダウンズにやられた日本人男子は多かったのではないのか・・・(この方の映画は本作ただ1本という印象が強いのが、とても残念)。


サルーンで暴れる酔っ払いのインディアンを、単身で解決するワイアット・アープのシーンは、「七人の侍」(54)で勘兵衛(志村喬)が盗人から子供を救出するシーンの元ネタのようにも見えました(ジョン・フォードを深く敬愛する黒澤さんなら、あり得ると思う)。


私見ですが、戦後の<アメリカの正義>みたいなハリウッド製の映画は、本作のヘンリー・フォンダ、「駅馬車」(39)のジョン・ウェイン、「スミス都へ行く」(39)のジェームズ・スチュワート、この3人でけん引して来たように思う(ゲーリー・クーパーは戦前、戦中までの人という気がする)。僕が一番好きなのは<ホンワカ>した雰囲気のジェームズ・スチュワートなのだが、いつもブレのない力強い頑固オヤジのジョン・ウェインは、如何にも<強いリーダー>を好むアメリカ人好みで、トランプ人気もそれは、それでアメリカらしいと理解できる。「12人の怒れる男」(57)、「テキサスの五人の仲間」(66)、「ウエスタン」(68)あたりの、全く違ったキャラクターで楽しませてくれるヘンリー・フォンダは<やっぱり巧い役者だなぁ>という事になる(娘のジェーン・フォンダはスタイルがよく、美人と言えるのかもしれないが、顔が親父さんとソックリなので映画に集中出来なくて困る・笑)。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ