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荒野の決闘 (1946)

MY DARLING CLEMENTINE

監督
ジョン・フォード
  • みたいムービー 37
  • みたログ 401

3.89 / 評価:131件

非公開試写版の感想

  • すかあふえいす さん
  • 2016年5月4日 23時30分
  • 閲覧数 1123
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

●非公開試写版(PREVIEW VERSION)について
試写版から削られた場面は以下の通り。
チワワがドクが帰って来たという知らせをビリー・クライトンから受ける場面。
ビリーはチワワに気があるのか彼女に口づけをしようとするが、チワワはドクのことを愛しているので顔を背け、ビリーの唇は頬に逸れる

アープがドクからシャンペンをもらうシーンで苦い顔をした後にシャンペンの感想を述べる

シェイクスピアの役者を劇場で待つ場面はドクが人ごみをかき分けて席に座る場面、酒を注ぐ男性、左頬に傷のようなものを付けたドクが散髪屋の話題を

アープが椅子に腰をかけるまで床を歩いて椅子を探し、散髪屋の代わりに別の男がアープに椅子を差し出す。アープが腰をかけてから駅馬車の到着を知らせるトライアングルを鳴らす女性が部屋の奥から二人歩いて来てアープに挨拶をする。その一連の場面で「いとしのクレメンタイン」が静かに流れている

クレメンタインとアープが出会う場面。劇場版ではクレメンタインの美しさに魅せられたアープの心情を表すように「いとしのクレメンタイン」が高らかに流れ、試写版ではクレメンタインがドクの部屋を訪れ、彼女の心情を表すように「いとしのクレメンタイン」が静かに流れる

ドクとクレメンタインの会話が短くまとめられる

アープが散髪屋で鏡を見る前の場面で幌馬車に乗り旅をしてきたであろう人々が次々に街に入って来るような描写

ドクが駅馬車を飛ばしチワワに銀行の金袋を投げるシーンにBGMがない

手術の場面でクレメンタインがドクの呼び掛けに応える場面、アープが独り黙って黒い影を落とす。口元に手をやりうなだれる。ロングショットでアープだけに光があたりその様子が強調されるかのようだ。こんな素晴らしい場面をどうしてザナックが削ったのか理解不能

バージルがビリーを追跡するシーンも試写版の方が長い。

アープがドクを気に掛けるセリフや仕草が試写版の方が多い。モーガンたちがドクを見やり、アープとモーガンの街の人々との別れ、クレメンタインの部屋の窓を一瞥、アープはクレメンタインがドクのことを想っていたことを知っているから、アープは彼女に握手だけをして去っていく。
フォードはアープの“情”の場面に力を注ぎたかったようだ。

一方、ザナックはアープの戦う保安官としての姿を強くしたかったのだろう。試写版よりも淡々としたやり取り、無理強いはしないが頬への口づけでせめてもの想いをクレメンタインに告白でもするように。

ちなみに、夜に駅馬車が着くシーンは試写版にはなく、試写版の内容に違和感が生じないようにロバート・ ギットが編集したとのこと。ギットよ紛らわしいことをしないで欲しい。あんたの解説を見ない者が「フォードがあの編集をした」と誤解したらどうするのだ。


・「荒野の決闘」そのものへの感想
個人的には「リバティ・バランス」や「捜索者」みたいに激しい方が好きなので、「荒野の決闘」はあまり好きではない。
終盤までアクションが無い「駅馬車」ですら終盤は最高潮に盛り上がり面白いと思ったが、「荒野の決闘」を最初見た時はとにかく退屈だった。
「オックス・ボウ・インシデント(牛泥棒)」のように野性的で魅力的な姿のフォンダはすぐに控えめな口髭姿になっちまうし、ヴィクター・マチュアも結核設定にしてはがっしりしすぎで元気そうだし(どうせ死ぬなら最後まで好きな酒を飲んでくたばりたいという気持ちはわかるけど)、他のクライトン一家とアープ兄弟は空気だし。登場人物の掘り下げが少ないから日常パートはあまり楽しめず。割と時間が割かれたシェイクスピア俳優もすぐに街を去っていくしさ。
アープはライフルを抱えるような好戦的な賭博師に警戒はする(チワワたちのようにイカサマをするかも知れない)癖に、自分は賭博に参加するは、椅子にもたれかかって柱を足蹴にするは、いくら平和だからってのんきに女性と踊るわで何処か抜けている様子。

だが一瞬一瞬で光るアクションは目を見張った。
店内に弾丸が飛び交い不意に襲い掛かる緊張、その辺に落ちていた石を拾って乗り込む姿、土砂降りの雨が物語る悲劇と挨拶、酒場における一瞬の抜き撃ち、駅馬車と馬を駆るアープが徐々に距離を詰めていく瞬間のスピード感と決闘、突然襲い掛かる凶弾と追跡、馬を囲っておくコラルにおける拳銃を二振り握りしめ砂煙が舞い上がる瞬間から一気に決着がつく集団同士の決闘の素晴らしさ!
特にワード・ボンドの鮮やかなファニングによる三連射!ただ、やっぱりショットガンを持っていくなら弾丸もしっかり込めて後備えとしてブッ放して欲しかったなあ。せっかく加勢に名乗り出てくれたんだから。嫌でも期待しちゃいますよ。

今回、改めて「非公開試写版」を見ることでアープたちの心情を表そうとする場面が多くて嬉しかった。そういう場面が多い方が感情移入できるからさ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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