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告発 (1995)

MURDER IN THE FIRST

監督
マーク・ロッコ
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  • みたログ 2,897

4.29 / 評価:843件

彼ほど求めるより与えた男はいない

  • サンゴ さん
  • 2015年5月30日 19時54分
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

見始めた直後から、こんなの見なきゃよかったかなあと後悔していた。
冒頭からずっと、見るに耐えない拷問シーンがえんえんと続くからだ。
それがなんとか終わるのは、始まってから20分過ぎ。
20分も拷問シーンですよ。
可哀想な話、悲惨な話が嫌いな私には、本当に苦痛な時間だった。

それでもなんとか見続けたのは、ヘンリー役のケヴィン・ベーコンの演技が圧巻だったから。
この人の出ている映画を何本か見たことあるけど、ここまですごい俳優だと思っていなかった。
確かにこれは「怪演」の名にふさわしい。
苦痛、恐怖、絶望、忍耐、狂気・・・それらをすべて余すことなく表現していた。

長い長い20分がたって、やっと二人目の主人公、クリスチャン・スレーター演ずる弁護士のスタンフィルが現れる。
ここでやっと普通の映画になる。
弁護士になったばかりで、無能扱いされているスタンフィルは、これが初めての弁護。
若くて無謀でまっさらの彼は、まともに会話すらできない野獣のようなヘンリー相手に真正面からぶつかっていき、アルカトラズの地獄のような内情を知り、同情と正義感と憤りと少しの友情と少しの名誉欲とで、彼の弁護に尽力する。
逆にアルカトラズの惨状を訴えるスタンフィルの弁護により、殺人で死刑が妥当と思われていたヘンリーは一転、過失致死罪で10年程度の刑ですむ予測がたつ。
しかし、それはまたあの地獄のアルカトラズに戻されることになり、それぐらいなら死刑のほうがいい、有罪を主張してくれとヘンリーは懇願。
死刑になどさせたくないし、裁判に勝ちたいスタンフィルは、あの手この手でヘンリーの気力を奮い立たせようとし、最後の最後でそれに成功する。
裁判の結果、彼の罪は過失致死罪で10年となり、裁判の上ではヘンリーたちの勝利となるが、やはり彼はアルカトラズに戻されることに。
その三日後、アルカトラズの独房で彼は死ぬ。
VICTORYという言葉を壁に刻んで。

なんともやりきれない最後だ。
他の人のレビューも読んだが、この最後に憤っている人が何人もいた。
確かに、あそこまでアルカトラズの内情を暴いた囚人をまた同じアルカトラズに戻すなんて、殺せと言っているようなもんだ。
スタンフィルもなんでまずそれを主張しなかったのか。
陪審員が最後に嘆願書を読み上げている時、まず彼をアルカトラズに戻さないでくれと言うのかと思ったら違ったし。
裁判官もその点配慮があってもよかったんじゃないのか。
結果的にアルカトラズに戻さざるをえないという話になってもいいから、なんとかそれを避けようとしてあがいた場面描写が必要だったと思う。

でも、そういう不満をひっくるめても、美しい、ひたすら美しい最後だった。
彼は、勝って死んでいった。
その勝利はとても悲しいものだったけど、それでも勝利は勝利だ。

最初は果てしなく続く拷問シーンに辟易したし、裁判シーンもありがちといってもいいようなものだったが、終盤の数十分は本当に素晴らしかった。
20年ぶりに会えた妹に、「俺はおまえのことを想像してたのかと思ってた。現実ではないのかと」というシーンは泣けた。
勝ったと叫びながらアルカトラズに連行される姿も泣けた。
アルカトラズで、背筋をのばして、俺の勝利を奪うことは出来ないと宣言するところも泣けた。
きっと彼は空の上から大好きな野球をずっと楽しんでいるんだと思う。




スタンフィルのモノローグ

彼ほど求めるより与えた男はいない
求めたものは友人だけ
彼はいつまでも最良の友だ
長生きする者の死より
意味のある死だった
最後には何ものも恐れず
勝利のうちに生きて死んだ
我々も見習いたい

・・・・

僕は弁護士を続けてて
野球ファンになった
君はたいした奴だ ヘンリー

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 悲しい
  • 恐怖
  • 勇敢
  • 絶望的
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