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地上(ここ)より永遠に (1953)

FROM HERE TO ETERNITY

監督
フレッド・ジンネマン
  • みたいムービー 37
  • みたログ 326

3.63 / 評価:80件

ちょっと混乱するが、なかなかの作品

  • bar***** さん
  • 2017年8月6日 22時52分
  • 閲覧数 568
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

地上より永遠に。なかなかいい作品だった。
1953年のアメリカ映画で、1941年の真珠湾奇襲前夜のオアフ島スコフィールド基地におけるドラマであるから、作品にある言説以外のさまざまなパースペクティブにおいてもさまざまな深い意義を持っていた作品であることは容易にわかる。
ただ、さまざまな概念が入り乱れた非常に複雑なプロットとテーマであり、キャラクター造形もそれを反映した、軸の多い不安定なものになっている。さまざまなメニューを盛りすぎた、いいとこ取りの品のないフルコースとでも呼べるような、いまいち評価しづらい内容である。

この映画はウォーデン曹長とカレン、プルーイットとロリーンという二組のカップルの恋愛模様と人間描写が主軸であるが、最終的にはどちらも破局してしまう。それは女たちによる現世的な恋愛観と、男たちの義務的な正義感の対立による。これはなかなかリアリスティックで良いところだ。真珠湾奇襲という危機的な事態でお互いの価値観が浮き彫りになっていき、女たちの愛と男たちの正義が深く対照される。ただそこを中心に据えようとはしないのだ、この映画は……。

最終的には死んだプルーイットの悲しさと、将校になりたくないと言っていたウォーデンが立派に将校役をこなし、その呪われた意識と生の戦いに突き進んでいく苦しさが対比される。しかし、プルーイットが主人公なのか、ウォーデンが主人公なのかはっきりとしない嫌らしさがこの映画にはある。どちらの読み方もできる。プルーイットが主役であれば、自責の念に傷付けられた影のある若者の悲劇、という話になるし、実際そういう演出がある。
かえってウォーデンを主役とみなすなら、腐った組織の中で自分の立場を模索している悲しい軍人のダンディーな恋愛劇、という解釈が可能となる(実際これでも設定にかなり無茶があると思う)。
どちらの読みで映画を鑑賞するかは、視聴者に委ねるといった工夫のある作りになっていれば話は別だが、はっきり言って視聴者に自由はないと思う。ラストに実際に日本軍の奇襲攻撃があり、今まで積み上げてきた詩情は崩れてしまう。否応なしに戦闘シーンに突入していき、戦闘の残酷さで頭がいっぱいになる。

それ以外にもまだ考えるべきことがある。平和なスコフィールド基地では、組織の精神腐敗が進んでおり、そこで組織の抑圧に対抗する個人の闘争、という描かれ方もしており、さらに混乱する。最後には悪の隊長は裁かれ、これは勧善懲悪的な話かと思えば、ほかにもプルーイットの苦い過去の話もあり、いったいどの話がこの映画の主軸なのかわからなくなってくる。
それがぼくが「いいとこ取りの品のないフルコース」と言った意味である。

ひととおり眺めてみると、最終的には兵士たちの悲哀を描きたかったのかな、と落ち着くことが可能だが、いささかいろいろなものに手を出し過ぎたという批判は避け得ないと思う。もう少し要素をそぎ落として、一つの軸に的を絞って肉付けしていけば、わりといいものができたのではないかと思い、残念でならない。

詳細評価

物語
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映像
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