メロドラマの佳作
- bar***** さん
- 2020年8月31日 7時37分
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心の旅路。
これを見ていて感じたのは、すごく綺麗な「はみ出しのない」作品という感じで、ストーリー構成もすごくバランスがいい、技術のある作品だということ。
ただ、あくまで「メロドラマ(通俗的・ご都合主義的な恋愛劇)」であるということ。
この二言に尽きます。
メロドラマの佳作、と言えば一番いいですかね。
この作品で語られている人間模様や愛といったものは、実は平板で中身のないものです。しかしその演出方法、観客の心情にダイレクトに訴えかけるシナリオの力は、注目に値します。イギリス・アメリカではこういった型のシナリオで溢れかえりました。
ここからは余談になるのですが、私が初めてイギリス文学に触れたとき、何でもかんでもハッピーエンドにしようとする、極めて人工的な、しかし平和主義と愛情にあふれたイギリス文学的情緒に胸を打たれたものでした。
これは西洋ならどこでも事情が同じなのかというとそうではなく、たとえばフランス文学ではもっとリアリスティックで、文学独自の世界観を追求するような、どちらかというなら現代文学に近いものになっています(これはフランスが「文学の国」と言われている理由の一つです)。
ドイツ・オーストリアはどちらかといえば幻想文学に強いです。これはイギリスが家族文学(田舎の家庭を描いたり、一個人のメロドラマを描いたりといった)の宝庫であることとは、面白い対比になっていますね。
ただドイツ文学にもリアリスティックな内容はあるし、フランスにもメロドラマはたくさんあったりするんですが、比較してみると明らかにイギリス・アメリカはメロドラマを特に好んでいます。
私がイギリス文学が嫌いになった理由も、こういったメロドラマの奔流なんです。
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