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小間使の日記

小間使の日記

LE JOURNAL D'UNE FEMME DE CHAMBRE

98

一人旅

3.0

ネタバレブニュエルのブルジョワ批判

ルイス・ブニュエル監督作。 田舎町のモンテイユ家で小間使いとして働くセレスティーヌ(ジャンヌ・モロー)と一家の交流を描く。 ブニュエルらしいブルジョワ批判を含んだ作品。モンテイユ家の人間は、表では使用人を従え優雅に暮らすブルジョワ市民だが、裏では異様な性癖を露わにする。前当主の老人は女性の靴に対し異常な執着心を見せ、セレスティーヌに自ら指定した靴を履かせる。一家の主人は妻との関係が上手くいっておらず、セレスティーヌに執拗に関係を迫る。セレスティーヌに拒絶されると、今度は別の小間使いを欲望の対象と見なし強姦するのだ。ブルジョワの隠された歪な本性を、セレスティーヌの目撃を通じて提示している。 セレスティーヌが最終的に軍人の男と結ばれるという結末は、小間使いから一転、ブルジョワ階級に組み込まれたことを意味する。皮肉なことに、ブルジョワの世間に対する欺瞞と本性を暴いておきながら、自らブルジョワの仲間入りを果たすことになるのだ。さらに、少女を無残に殺害した下男は右翼思想に走り、在留外国人排斥を叫ぶ。セレスティーヌはブルジョワに組み込まれたが、下男はブルジョワの仲間入りを果たさない。ブルジョワの支配下にある下男は自身よりも社会的地位の低い人間(在留外国人)を社会に対する不満の捌け口と見なし攻撃しているのだ。結局のところ、市民はその時代を支配する層、または勢力を拡大する思想や権力の中に何らかの形で巻き込まれていくほかないのだ。

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