ここから本文です

ブエノスアイレス (1997)

春光乍洩/HAPPY TOGETHER

監督
ウォン・カーウァイ
  • みたいムービー 274
  • みたログ 1,176

3.74 / 評価:345件

地獄の底に引きずり込まれるような錯覚。

  • とみいじょん さん
  • 4級
  • 2015年12月14日 0時35分
  • 閲覧数 3541
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

イグアスの滝。”大いなる水”という名を持つ滝。”悪魔の喉笛”と名付けられた絶景ポイントを持つ滝。
 そんなイグアスの滝が何度も映し出される。圧倒的な水量が滝つぼになだれ込む様は、ただただ圧巻。心が呑みこまれていく。

そんな滝にも似た二人の恋愛模様。
 お互い、お互いをむさぼりあうだけ。求め、束縛し、支配し、苦しくなり離れては、また求めあう。
 お互いを、そして自分自身も破壊尽くさなければならないほどの想い。
 自分と相手との境界線も見えていない。ただ、一つになることを求め、でも呑みこまれることには恐怖を覚え、そのジレンマの中で、お互いがお互いを傷つけあう。
 狂おしくも残酷な愛。
 不器用な愛。

私は、こんな風に人を求めたことがあるだろうか。
 人を愛したことはあるし、恋愛もしてきてはいる。
 けれど、どこかで、嫌われないよう間合いを計りながら、自分の生活・相手の生活も成り立つように、醒めた頭で考えながら、生きてきた。
 それは賢いことではあるものの…。

自分のすべてをさらけ出してぶつけ合い、相手を求めざるを得ない激情。多分、私の中の無意識に押しこめたその想い。
 だから、ファイが、ウィンが、こんなにも愛おしくて目が離せないのだろう。



一歩間違えれば、痴話げんかのドキュメンタリーにもなりかねない作品だが、
相手の存在を乞う人間を描いた普遍的な映画に仕上がっている。
 それは、
 色使い。構図。それだけでも見応え有る映像におう所が大きい。
 そして稀代の名優たち。レスリー氏、トニ―氏、チャン・チェン氏。誰が欠けても、他の人と入れ替わっても、この作品は成り立たない。
 制作途中は、いろいろとアクシデントもあったと聞くが、それをすべてプラスに変えた監督の力があってのことだろう。



狂おしい激情に触れたくなったとき、何度も観返してしまう映画です。



レスリー氏が亡きことがただ悔やまれます。合掌。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 絶望的
  • 切ない
  • セクシー
  • かっこいい
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ