二つとない作品
- nan***** さん
- 2007年8月9日 12時26分
- 閲覧数 2062
- 役立ち度 28
- 総合評価
一言で言えば,よくある痴話げんかや腐れ縁のお話。
でもなぜこの作品はこんなにも切なく,魅力的なのか。
ありきたりの男女ではなく,トニー・レオンとレスリー・チャンの組み合わせ。
舞台は退廃的なエロスの香り漂う南米のブエノスアイレス。
クリストファー・ドイルの異次元世界のような目くるめく映像のマジック。
ピアソラのタンゴの情熱的で哀切な調べ。
ウォン、カーウイ監督の天才的な感覚。
アジアの男性は欧米の男性が出せないセクシーさを醸し出すなあと思った。二人が抱き合ってしなやかにタンゴを踊るシーンを見て。
奔放で,わがままで,寂しがりやで,甘え上手のレスリー。ほとんど地で演じているみたいにみえたけど,どうなのかな。恋人に煙草の火をねだるシーンは,どきっとするくらいなまめかしく,母性本能をくすぐる。
困惑顔が様になるトニー。この役自体に実は困惑しまくっていたりして。でも,恋人に対して限りない包容力と同時に,強い独占欲も持っていて,その狭間で苦悩するトニーの表情は何とも切なかった。
ラスト,トニーが去ったアパートでむせび泣くレスリーの姿が,その数年後に自ら命を絶った彼自身と重なって,痛々しくやりきれない気持ちになった。
今でも,あの混沌としたけだるい南米の街を,彼が恋人を待ちながら彷徨っているような気がする。
詳細評価
イメージワード
- 泣ける
- 悲しい
- ロマンチック
- 不思議
- 絶望的
- 切ない
- セクシー
このレビューは役に立ちましたか?