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スウィンガーズ

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5.0

気負わず、説教せず、感動の押し売りせず

久し振りにここまで面白い映画を見た。 後にウィルフェレルの「エルフ」やマーベルの「アイアンマン」を撮ることになる若きジョンファブローが制作・脚本・主演を務めたのが本作だが、彼の最高傑作は今のところこれで間違いないだろう(アイアンマンの一作目も相当良く出来た傑作ではあるが…) 元々スタンダップコメディアン志望であったファブロー自身の日常を色濃く反映したストーリーだが、この会話の圧倒的なリアルさは青春映画の中でも白眉である ここで思い出すのは2007年のセスローゲン&エバンゴールドバーグの「スーパーバッド」だ 男同士のノリのいい会話のリアルさといい、女をモノにする為に頑張るという話の骨子といい、方向性は非常に近い 「スーパーバッド」は17歳くらいの歳頃の話だったが、「スウィンガーズ」はそれより5歳〜10歳くらい上の年齢の話である 「スーパーバッド」は「童貞を喪失する」という目的に向かってひた走るが、こちらはもうちょっと複雑で、元カノに電話を掛けられない葛藤や女に相手にされなくて自己嫌悪に陥ったり見栄を張ったりする様が描かれる。 また「スーパーバッド」の音楽はカーティスメイフィールドやジェームスブラウンといった70年代ファンクを中心に構成されていて趣味の良さが光っていたが、こちらはロスが舞台なだけにウェストコーストジャズのオンパレードでこれまた抜群にセンスが良い 途中「レザボアドッグス」に言及した直後にそっくりなシーンをやる、といった多少狙い気味なシーンが入るが、クドくならないようにやっているのでまったく嫌味がない この手の青春映画は「アメリカングラフィティ」や「アメリカンパイ」、「スーパーバッド」など高校生モノが多い中で、20代前半の特有の気楽さをこれだけ上手く切り取った作品はなかなか珍しいだろう ”気負わない傑作”というものがあるとしたらまさにこの映画のことを指すのだろう。そんなことを思わされた映画だった

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