2015年2月14日公開

SHOAH ショア

SHOAH

5672015年2月14日公開
SHOAH ショア
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(5件)


  • cyborg_she_loves

    4.0

    人間の醜さ

     公開当時、ボランティアの学生団体が無料(寄付歓迎)の上映会を開催したので、そこで見ました。朝から夜まで、各部の合間には20分ぐらいだったかな、昼休みは昼食のために1時間ぐらい、休憩をはさみながらだったと思う。  それだけ続けて見ても、居眠りするどころじゃありませんでした。あまりにも衝撃的で。  それから何年かしてからだったかな、テレビで全部放映したのをVHS録画して見ました。2度目に見ても、やはり衝撃的でした。  ところが、久しぶりにそれを出してきて今見たら、以前とは全然見方が変わっているのに自分でも驚きました。  ナチスドイツによるユダヤ人大量虐殺の悪逆非道さに対する衝撃は、何度見ても換わりません。  生まれて数ヶ月の赤ん坊にすら水1滴も与えぬまま、10日間も列車にスシ詰めにして運んできて、1列車あたり3000人、5000人という単位で次々にガス室に送り込む。近くで見ていた人たちも、あれだけの人が来たのにごく短時間で人っ子ひとりいなくなってるって、いったいどうなってるんだ、と不思議に思うようなペースで、次々に死体の山が出来上がっていき、次々に焼却処分されてゆく。  当時の囚人や死体処理班の人たちの生々しい証言を、収容所の廃墟の中をその人自身の視点で移動する映像に重ねて流すから、観客はまるで自分自身が囚人になったかのような感覚でその証言を聞くことになります。ぞっとします。  その衝撃は、今も昔も変わりませんが、私が今回初めて気づいて、大量虐殺のことと同じぐらい衝撃を受け、考えさせられたのは、……  ひとつは運ばれてくるユダヤ人たちを線路沿いで見ていたポーランド人農民たちの証言ぶりです。  ユダヤ人たちはなぜここに連れてこられたのか知らないんだぜ。だから、列車の停車中に、乗客の見てるところで、手で首をチョン切られるポーズをして見せて、あんたたちを待ってる運命はこれだよ、って教えてやったのさ。  と、いかにも面白そうに笑顔でインタビューに答える農民たち。彼らは今でもユダヤ人たちが殺されたのを本気で面白がっているんです。おそらく先祖代々筋金入りのユダヤ人差別主義者で、あんな連中は死んでよかったんだ、と本気で思ってるんでしょう。  ヨーロッパのユダヤ人には富裕な商人が多かった。収容所まで来る列車にも、綺麗にめかしこんだ金持ちの女性たちもいて、こういう人たちには疑念を抱かせないよう、ナチスの方も快適な旅をさせていた。そういう金ぴかの乗客たちを見た貧しい農民たちが、ざまあみろ、という調子で首をチョン切られるポーズをしてニヤニヤ笑ってる。  そして彼らは、ナチスドイツの残虐行為の全貌が明らかになった今でも、自分たちのこういう心情に疑問ひとつ抱いていない。  ある意味、ナチスドイツの行為にひけをとらないぐらい、これは恐ろしいことだと私は感じました。  もうひとつ、恐ろしいと思ったのは、かつてのSS隊員にインタビューしている、ほかならぬランズマン監督自身です。  相手には、匿名で、顔も映さず、ただ話を聞くだけだ、とはっきりと約束しておきながら、じつは赤外線隠しカメラで本人の顔を映し、名前も公表して映画に取り入れている。しかもそういう隠し映像を建物の外に駐車した車の中で受信しているスタッフの姿を、なんだかすばらしい仕事をしている人みたいに自慢げに映し出している。  ちょっと待てよ、と思った。相手が犯罪行為に手を貸した人であれば、嘘をついて隠し撮りをしても、その映像を本人に無断で公開しても、何をしてもかまわない、と考えているとしたら、このランズマンという人、とんでもない考え違いをしています。  どんなに残虐な犯罪行為であろうと、それを裁くことができるのは「法」だけです。それが法治国家の原則です。こんなやつにはこれぐらいのことをして当然だ、と個人が勝手に判断して行なう行為はすべて、リンチ(私刑)です。ランズマン監督は、ナチスドイツの巨悪の真相を記録するため、という美名の下で、元SS隊員にリンチを加えているのみならず、その様子を自慢げに映像で公表までしてるんです。  これじゃあ、この映像の価値は激減します。相手が絶対に許せない悪を行なった人たちだからこそ、こちらはどこまでも正義を守る立場でそれを糾弾するのでないと、意味がありません。悪に対するに悪をもって報いようとするんじゃ、問題は何も解決しません。  この映画は、ナチスドイツの醜さを描いているのはもちろんですが、証言者や、製作者の醜さまでいっしょに描いてしまっています。ナチスドイツの醜さの大きさに幻惑されて、これらの醜さが見えなくなるような人間には、なりたくないものです。

  • ソロビッチ

    5.0

    まだ物足りない 100点

    「水をあげて自分の身が危険じゃありませんでしたか?」ランズマン 「とっても危険だった。水を一瓶、いやコップ一杯の水をあげただけで殺される怖れがあった。だけどそれでもやっぱり水をあげたのさ」トレブリンカの駅員 「まさに地獄だったよ、あそこは」ズホメル 「見たんですね?」ランズマン 「ああ。1度だけだ最初の日に。それから我々はヘドを吐き、泣いたよ」ズホメル 「泣いた?」ランズマン 「ああ我々だって泣きたくもなるじゃないか。悪臭ときたら地獄のようだった」ズホメル 「それにはそれなりの理由があるんだ」オーバーハウザー こんなこともありましたっけ。この子を見て私ドイツ兵に言ってやったんです。 「ねぇあんたこの子を釈放してやりなさいよ」 するとこう訊かれた。「でもまたどこへさ?」 「決まってるじゃない。父親と母親の所へよ」 するとねドイツ兵ったら空を見上げてこう言ったわ 「そうだな近いうちにあそこへ行くのさ。父親と母親の所にな!」 「あの事を見ても何も感じませんでした。続いて2回目3回目のトラック輸送分を片付けてもやっぱり何も感じませんでした。なにしろほんの13歳です。だいたいそれまでの人生の中で目にしたものといったら死人だけ死体だけだったんです」シモン・スレブニク 10時間の映画ですがユーチューブと図書館で借りた字幕翻訳網羅されてる原作本読むという裏技で念願の鑑賞。 やはり本の方が先に読めてしまって動画は飛ばしてしまいましたが良かったです。 冒頭のシモンさんはよく生きてましたな。 色々たくさんあるが一番はオーバーハウザーかな。かなり中枢にいた重要目撃者なのだからたくさん証言して欲しかった。飲み屋のウェイターやってるなんて想像もつかない。映画公開の85より以前に79年に死亡。もっと長生きして証言すべきだったよ。証言する勇気もない臆病者のクズ。 あと後半のワルシャワゲットー蜂起はイマイチインパクトに欠けた。絶滅収容所特殊部隊のガス室の証言もっと聞きたかった。というかまだまだ知りたい。9時間半が足りないと思いました。 ランズマン監督も色々削ってるだろうが全部の証言知りたい。全部本に書けよ。というかドキュメンタリーシリーズにしろよ。なぜ映画に? ラストもフランス人らしく綺麗に終わってたがまだまだ物足りない。カッコつけてないでもっと見せろと感じたね。 もうランズマンも100歳。全てを語って欲しい。 ソビボルと不正義の果ての原作本も出して下さい。 ラブシーンはないです。 100点

  • des********

    4.0

    長くて眠くなるが衝撃的な証言で目が覚める

    2015/09/19,20の2日連続、川崎市市民ミュージアムで鑑賞。 全4部作を2部ずつ2日かけて鑑賞しました。ショアとはヘブライ語で惨事を意味し、ナチスによるユダヤ人虐殺を指す言葉として用いられるそうです。 流石に長いですよ、でもところどころ出てくる凄惨な証言内容に目が覚めるんですよね。 ホロコーストで大量のユダヤ人を処分しても死体の処理が追いつかず、収容所の数百m先まで腐敗臭が漂ってきたとか。 とにかく、システマチックに処分するためにユダヤ人には殺される運命を悟られないように苦心していたようです。パニックを起こされると作業の流れに支障があるからです。 ユダヤ人たちは列車から降りる時も、服や服装品を没収されて丸裸にされる時も、髪の長い女性は利用価値のある髪をカットされる時も、この先自分が数十分後には灰になっているということに気づいていなかったそうです。収容所では一部のユダヤ人が職員として働かされていたのですが、その妻子が運ばれてきた時、その後に待ち構えている運命について話せなかったそうです。 ある日、ユダヤ人の職員が知り合いの女性が運ばれて来た時、哀れみからこのあとガスで殺されると教えたそうです。その女性は驚いて他のユダヤ人に教えて回りましたが誰にも信じてもらえず、その上、親衛隊に拷問を受け教えた男性を吐かされ、その男性は生きたまま焼却炉に放り込まれたそうです。 他にもアウシュビッツやゲットーで蜂起があったことなど、経験者の生の証言が聞けます。 これだけの生きた証拠があってもホロコーストはなかったとかいう説が出たりするのですから、歴史修正主義者って怖いですね。

  • rmd********

    5.0

    10年ぐらい前に観た。

    でも、テレビでランズマン監督の解説が挿入されながら、観たので、完全に観たとはいえません。題名の通り、「絶滅」という感じが表現されていました。 かなり多数のユダヤ人が焼かれた場所などが、きれいな畑になっていて、そういう事実があったということを完璧に消し去っていることが証言によって分かり、その事実の隠滅の仕方のすごさにあぜんとしたのを覚えています。 徹底的に消し去る。その事実があったということは、生き残った数少ない人の証言でしか分からない。証言の重要性を感じました。DVDさがしてみよう。

  • rou********

    5.0

    素晴らしい

    題名以外の言葉は思いつきません。とにかく素晴らしいです。 ホロコーストを描いた映画は星の数ほどあるけど、そのどれも、この映画には遠く及ばないと思います。 この記録には、最初から最後までを貫く脚本がありません。 劇的な場面もなければ、当時の映像もひとつとして挿入されないし、教訓めいた訓示もありません。 それでも当時を振り返った生々しい証言の数々は、観客をソビブルへ、アウシュヴィッツへ、トレブリンカへ連れて行きます。 テレビカメラは青々としたヨーロッパの湿った森林を映しているのに、 観客は、そこに燃え上がる死体の山やゲットー、ガストラックを想像してしまいます。 映画をとるにあたり、ランズマン監督は〈理解しようとしないこと〉を常に念頭に置いていたそうです。 なぜあのような虐殺がおきたのか なぜ誰も止めなかったのか なぜ農民たちはユダヤ人を嘲笑っていたのか 過去にかかわる問いは、現在のヨーロッパに図太く残る差別の地下水脈をごぼごぼと湧き上がらせます。 SHOAHとは〈絶滅〉という意味です。 映画の初め、字幕で書かれていた旧約聖書の言葉がとても印象的でした。 私は彼らに、決して滅びることのないとこしえの名を与えよう。

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