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ボクサー (1997)

THE BOXER

監督
ジム・シェリダン
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3.72 / 評価:29件

過去を清算する戦いに未来は?

  • kor***** さん
  • 2014年4月10日 0時23分
  • 閲覧数 687
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

昨今騒がれる「スポーツに置ける人種差別問題」。当事者がどのような意図を持とうが、他者から見てその行為が差別と捉えられると厳しく罰せられる事は世界ではスタンダードな慣わしである。IRA闘争を描いた『父の祈りを』に続き、監督ジム・シェリダン、主演ダニエル・デイ=ルイスで己の存在証明のために社会と闘う一人のボクサーと、束縛される女性との恋愛を描いた辛口ラブストーリーを観賞。

アイルランドの統一実現を目指すIRAが70年代から90年代にかけてイギリス側と対峙した『北アイルランド紛争』は土地だけではなく、プロテスタントとカトリックの宗教を賭けた戦争でもあった。プロテスタント側のイギリス軍の監視ヘリが日中も上空から目を張り巡らせ、日が当たらないカトリック側のIRAは暗さを利用し日夜爆弾を生成していた。しかし、対決姿勢が取られたものの、常に和平への取り組みは模索されており、70年代にはイギリス政府とIRA幹部らとの秘密交渉も行なわれていた。

IRA側の一枚岩が崩れさろうとしている中、刑期を終え一人のボクサーが故郷のベルファストに帰って来る。一度は途絶えたボクシングという夢と、元恋人であり人妻でもある女性と再会し、真実の愛の再構築を目指そうとするために。IRAを文字通り支えたのは思想だけでなく、妻や恋人達の献身的な支えも大きかった。しかし、刑期を終える事と、アイルランド統治を家で待ち続ける姿勢は「過去を清算する戦い」への後押しにしかならないのも悲しき事実である。

スポーツが持つ感動性や真剣な姿勢が生む奇跡は、人種を超えて共有出来るものであり、宗派をも超えると誰もが信じたい。しかし、オリンピックという大きな舞台でも開催国と政治的に摩擦のある国が参加をボイコットするなど政治的な駆け引きやアピールがされている事例が絶えないのも悲しき現実である。鳴り止まぬヘリの音は傍観者である私達に立場を置き換えられるような気がしてしまう。何も出来ない。関わっていいのかもわからない。だから、見てるだけ。このような作品を観ていると、時に孤独感と無力感に襲われる事が私は多い。


・余談

(カフェで何十年ぶりに向き合う主人公とヒロインのシーン)その髪型で笑えないのなら、何で笑うというのか?

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