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プライベート・ライアン

プライベート・ライアン

SAVING PRIVATE RYAN

170

msc********

5.0

ありのままの本当の戦場をスクリーンに映した、最初の戦争映画。

それまでの戦争映画では無かったであろう、人間の肉塊が飛び散る本当の戦場の描写。 自分たちが善で敵が悪とは一概には言いきれない戦場の悲惨さと愚かさを映して見せた戦争映画の傑作。 最初に観たのは映画館で、当時使われ始めたばかりのデジタル立体音響による、観客の頭上を前後左右から銃弾が飛び交うノルマンディ上陸作戦はあまりの臨場感と迫力で、呆然とスクリーンを眺めていたのを今でも覚えている。 ストーリーは、あまりにもありきたりな救出作戦。 戦争娯楽映画の王道中の王道、、、 でも、そうはならなかったのは、そこにリアルな戦場、人と人が殺し合う戦争の本当の姿が映っていたから。 バカみたいな政治的な温情救出作戦と、実際の遂行者である一兵士たちの行方のギャップが、戦場の悲惨さ、戦争の愚かさをひときわ浮き立たせる。 日常の世界にも居る、様々な価値観を考えを持った登場人物たちが、戦場の極限の中で見せる強さ、弱さ、狂気、生の渇望、あらゆる感情がほとばしる人間ドラマだ。 その中でも一番常識的で優しい、最も現代の私たちに近いキャラクターの通訳兵士アパムが最後に、一度は助けたドイツ兵に対して取った行為。 『虫も殺さないような人が、極限状態の中、憎しみを抱いたときに放つ一撃。そして始まる憎しみの連鎖。』 これこそが、人々を戦場に向かわせる根源であり、 そして、今なお戦争が無くなることのない、人の持つ感情であり、人間の "さが"(業)なのだと、、、 2022年3月5日の今 侵略するロシアと、それに果敢に立ち向かうウクライナの中に、この映画の一片を見た気がして、なんとも言えない感情がこみ上げてきた。 戦争は愚か。たとえそれが原始の昔から生物に組み込まれた感情だとしても、、、 それが本当に、いたたまれない。

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