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最前線物語

最前線物語

THE BIG RED ONE

110

mys********

4.0

詩の様な画面満載の戦争映画

組織化された狂気、それが戦争の現実だと言い放つ。 戦争の中に舞台劇にある様な様式化された狂気は存在しない。 それ自体が日常だから。 その日常の中で時折見せる非日常性と言っていいのだろうか、 印象に残る画面がとても目立つ。 初っ端のまるでゴルゴダの丘の様な十字架からしてそうだ。 戦場に残された煙草の吸殻、間抜けにしか見えない花飾りの鉄兜、戦場から解放されるとすぐに活気を取り戻しごちそうを振舞う主婦達、海岸線で血に濡れる時計、精神病棟で踊り静かに命を奪う人形、死んだふりをした大勢ドイツ兵 どれも狂気の現場である戦場でさえその非日常性は際立つ。 ただ登場人物達はその非日常性によって自分を維持していると感じる事が出来る。 それは映画を見ている私達の視線には美しいと思いながら、死や滅びの象徴だとも感じられるザワザワとした合反するカタルシスを感じる。 そうした戦争の日常も紙切れにサインをした瞬間から私達の良く知っている日常に移り変わる。 今まで動物を撃つように人の死に鈍感に対していたのに、そこからは人間扱いをすべきと心で知っている。 そこにやりきれなさと何かしらの生命力を感じる事が出来る。 見終わると生き残ったヤツラはどう生きていくのだろうか?、 狂った様に死んだ兵士を撃ち続けたヤツはどう生きれるのだろ? 本を書いて売れた兵士はどんな風な生活を送るのだろう? 生還した曹長の自宅で見る夢は何だろうか? そんな風にツラツラと苦い後味を残す。 ちょっと長い映画だったけれども、たまにはこんな映画も悪くない。

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