勝ち組、負け組
- kinchan3 さん
- 2017年1月13日 11時57分
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『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』を読んだ。
日独がもし、大戦で勝っていたらという小説だった。
ブラジルでは日本が大戦で勝ったという人と負けたという人に分かれた。
日本兵でも負けたことを知らないで逃走生活を続けた人もいた。
ビシーが出て来るが、ビシー政権のことで、もちろん飲料水ではない。
これは『カサブランカ』の最後にビシー水が捨てられるのにも描かれている。
コンドームを銃口にかぶせるのは次のように書いてあった。
砂塵吹き荒れる戦場で、銃口にほこりや砂がたまってしまっては大きな事故になりかねません。
そこで利用されたのがコンドーム。大量に入手が可能なコンドームを銃口にかぶせることでほこりや砂から銃を守っていたと言われています。
We don't murder, we kill.
がこの映画の全てだ。
チャプリンの『殺人狂時代』と同じテーマだ。
少数を殺人したら罪人だが、多数を殺したら英雄だ。
ロンメルとの戦いの最前線である。
アラブの服装で仲間と合流するシーンは『アラビアのロレンス』みたいだ。
見張りに若い補充兵が使われることも分かった。古参を殺すのはもったいないからだが、実にむごい。
女だらけの村、花で飾ってもらった鉄兜、いろんな経験をしなければならない。
オマハビーチ(ノルマンディ上陸作戦)では突撃の順番までお金に換算される。そりゃ、そうだ。
『プライベート・ライアン』で妻がずっと下を向いていたのを思い出す。
チャールズ・シュルツがDデイをいつも感謝したのもよく分かる。
『史上最大の作戦』は音楽のせいか、悲惨さが伝わって来ない。
まさか出産シーンが出てくるとは思わなかった。
日本語のタイトルの方がいいと思ったことは少ないが、この映画はそのままだ。ずっと最前線にいると狂ってくるだろう。
頭の悪かった甥っ子が自衛隊に入って1年近くだが、周りはキチガイだらけだという。その中で一部だけがパート状態から自衛官になっていくらしい。
「メメント・モリ」だ。
その後の展開も、まさかで、静かな場面は『西部戦線異状なし』を思い起こす。
リー・マービンは同じ間違いを繰り返すのか?
サミュエル・フラーらしいすごい映画だ。
評価が低いのがとっても残念だ。
大戦の英雄アイゼンハワーは大統領を辞める時に「軍産複合体制」を批判したが、アメリカはその後、ベトナム戦争にのめり込み、世界中で絶えず戦争をしている。この映画は明らかにベトナム戦争のメタファーだ。
日本だって分からない。米中に何かがあればすぐに巻き込まれる。
渡辺白泉「戦争が廊下の奥に立ってゐた」
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