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ガッジョ・ディーロ

一人旅

5.0

発掘良品を観る #477

TSUTAYA発掘良品よりレンタル。 トニー・ガトリフ監督作。 パリからやって来た青年とロマ族の人々の交流を描いたドラマ。 エミール・クストリッツァ同様、ロマの人々をテーマに映画を作ってきたアルジェリア出身:トニー・ガトリフ監督による“異文化交流譚”で、ルーマニアのロマ族(ジプシー)の村を訪れたフランス人青年:ステファンと、村に暮らすロマ族の人々との邂逅と交流、そしてロマ族の陽気な村娘:サビーナとの恋愛模様を描いています。主演のロマン・デュリスとヒロインを演じたルーマニア出身:ローナ・ハートナーを除き、村人全員が演技素人の本物のロマの人々が演じているのが特長であります。 欧米(フランス)の文化に育った青年がロマ独特の風習・文化に遭遇する異文化交流が中心となった作品で、ロマの人々の質素な暮らしぶりや色彩豊かな民族衣装、「男性は掃除をしてはならない」という風習、そして狂騒的なロマ音楽等、ロマ族に係る蘊蓄と魅力があらゆる所に詰め込まれています。 その一方で、首都ブカレストから離れたコミュニティーでひっそり暮らしてきたロマの人々に対する、非ロマ系ルーマニア人からの偏見と差別そして不条理な暴力の悲劇をも浮かび上がらせていった社会派な一面のある作品に仕上がっています。現代に生きるロマ族の歓びと哀しみに真摯に向き合った作風には、自身もロマ族の母親を持つガトリフ監督の想いが多分に反映されています。 そして“今を必死に生きる”ロマ族の刹那的生き方が、死んだ父親の面影を求め続ける主人公の心情に明白な変化をもたらしていく過程までしっかり描き込んだ作劇が出色で、ロマとの出逢いを通じて過去との決別を誓う青年を主演のロマン・デュリスが的確に演じています。

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