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ガッジョ・ディーロ

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3.0

刹那に生きるロマへの哀歌

自身がロマ(ジプシー)の血を引くトニー・ガトリフ監督は一貫してロマの文化や風習にこだわった作品を撮り続けているが、これはその集大成と言える作品。 ロマの監督が本物のロマを使い、実際のロマの村で撮影されたものなので「作り物感」は全くなく、全編が匂い立つような濃厚なエスニックな雰囲気で満たされている。ちなみに劇中で話されるメインの言語もロマ語という徹底ぶりだ。 元々が歌と踊りを生業とするロマには生粋のエンターテイナーの素質があるのか、キャスティングされた素人の演技がみな上手いのには驚く。基本的にはヘタウマなのだが、特にイジドールの爺サマなんてプロの役者では絶対出せない味わいが絶品だ。 本作はヨーロッパ文化の価値観の中では軽視され、虐げられ、どこにも受け入れられないロマという放浪の民へ注ぐ監督の哀歌そのものかもしれない。 ただしストーリーをじっくり見せる作品ではないので、この世界観にハマれないとただの「つまらない変な映画」という感想だけで終わってしまう可能性があり、そういう意味では万人向けではない。本作を正しく理解するにはある程度の映画を観る肥えた目と経験が必須だろう。 世界の珍しい土地や文化をテーマにした映画に興味があるなら十分満足出来るはずだ。

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