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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ&アメリカ/天地風雲 (1997)

黄飛鴻之西域雄獅/ONCE UPON A TIME IN CHINA AND AMERICA

監督
サモ・ハン・キンポー
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3.58 / 評価:26件

黄飛鴻系列之第六弾!

  • lamlam_pachanga さん
  • 2011年5月29日 1時43分
  • 閲覧数 558
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

90年代屈指の人気古装片『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』(通称『ワンチャイ』)シリーズの第六弾。監督・武術指導はサモ・ハン・キンポーってこともあるので第五弾は後回し。先にこの『ワンチャイ&アメリカ/天地風雲』のレビューを。

本作最大のニュースは主役にリー・リンチェイ(ジェット・リー)が復帰したことだけど、個人的にはちょいと複雑。いやね、私も黄飛鴻役はリンチェイが適任だとは思うんだけどさ、チウ・マンチェクがあまりにも不憫でねぇ・・・だって彼が主演した4~5作目は悲惨な興行成績(それぞれ700万HK?、400万HK?)だったのに、リンチェイ復帰の本作は3,000万HK?突破のV字回復ってどうなのよ?マンチェクも頑張ってたけどなぁ・・・この差には主演スターの大切さを痛感するわ。

ところでリンチェイは復帰したものの、今度はツイ・ハークが監督を再度降板。その代わりがサモってことなんだが、最初は頑張った5作目がコケたことにやる気を失ったのかと。どうやら事情は別にあったらしく、何でもハリウッド進出の準備が忙しかったんでサモに監督を譲ったんだとか。ついでに言うならリンチェイも米国へ拠点を移してる最中で、だったら黄飛鴻も米国へ連れて行こうってことになったらしい。

ってなわけで、本作では我らが黄飛鴻は海を渡ることに。

弟子の牙擦蘇が寳芝林・米国支店を開店。招かれた黄飛鴻(リー・リンチェイ)は、妻の十三姨(ロザムンド・クワン)と鬼脚七(ション・シンシン)を伴い渡米。ところがその道中にインディアンの襲撃を受け激流に呑まれた黄飛鴻は記憶喪失に。米国・寳芝林に到着した十三姨はすぐに捜索を開始するが、地元の悪徳市長の妨害もあって進展しない。その頃、記憶のない黄飛鴻はインディアンの集落で暮らしていた・・・。

まあ勘のいい方なら解ると思うけど、これは如何にもサモって感じのストーリー。単純な娯楽性はシリーズでも随一だし、ハークとリンチェイの都合だけで舞台を米国に移した割には脚本はまとまってる。ただそのせいなのか、サモの演出も(これを喜んでいいのか複雑なんだけど)妙に優等生な落ち着きを見せ、お得意の道草がない代わりに、昔は感じられた「灰汁」みたいなものまで消えちゃってる。なんだろう・・・コクが足りないって言うか、無味無臭の映画。当初噂のあったタランティーノ出演が実現してれば・・・いや、もっとおかしなことになっただろうな。

本作がこんなに特徴のない映画になった責任は、私はハークとリンチェイのふたりにあると思う。このシリーズを自分らの都合だけで無自覚に米国へ連れ出した事実を猛省させたいね。それで少しでも映画が面白くなってりゃ文句は言わないよ。舞台を米国に移した意味が作品に反映されてりゃね。でも、な~んもない。黄飛鴻が米国行って、いつも通りにカンフーで活躍しただけ。そんな物語のために海を渡らせたのかよ。

私が怒ってるのは、そもそもこのシリーズって「列強支配に晒される中国のアイデンティティーの模索」と言う命題を抱えてたわけでしょ。誰が監督だろうが、誰が主演だろうと、それだけは変わらなかったのに。あっさりそれを捨てたのが許せない。そのせいで味のない映画になったってのに。これって当然、雇われ監督のサモの責任じゃない。仮に彼の提案だとしても、生みの親のツイ・ハークは反対すべきだと思う。そこを捨てるってのは、『ワンチャイ』シリーズの終焉を意味するんだから(実際に今のところ打ち止めだけど)。米国へ舞台を移したんなら、1~5作目まで模索し続けた「西洋文化と東洋文化の対立構図」を掘り下げるくらいしなきゃ。

唯一の救いはリー・リンチェイの華麗なる演武はちっとも衰えを見せず、やたらと登場する説教臭い場面も彼が演じることで妙に可笑しくなってること(マンチェクにはこの味が出せなかったから)。サモのアクション演出はやっぱり安心出来るし、リンチェイとシンシン(何だかんだでシリーズ皆勤賞!)のふたりが大暴れするのは気持ちがいい。

面白いかどうかで言えば面白い。それだけに頭に来る。

『ワンチャイ』シリーズが他のカンフー映画とは違う輝きを放っていた本当の理由を、わざわざ自分たちから放棄するなんて。これじゃあ、単なる娯楽映画。ファンはリンチェイ復帰を歓迎するかも知れないが、これだったらマンチェク主演の4~5作目の方がまだマシだ。シリーズを通じてアイデンティティーを模索し続けたこのシリーズは、最後の最後でそのアイデンティティーを見失ったらしい。

笑えるか?私は無理だね。

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