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交渉人 (1998)

THE NEGOTIATOR

監督
F・ゲイリー・グレイ
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  • みたログ 4,148

4.08 / 評価:1005件

熱いサミュエルと冷静なケビンの演技合戦!

  • pvx***** さん
  • 2014年10月20日 13時30分
  • 閲覧数 1645
  • 役立ち度 15
    • 総合評価
    • ★★★★★

『交渉人』(THE NEGOTIATOR/1998/米)は、後に『ミニミニ大作戦』『Be Cool』『完全なる報復』等でメガホンを撮ったF・ゲイリー・グレイ監督のサスペンス・アクション。

シカゴ警察東分署に勤務する人質交渉人のダニー・ローマン(サミュエル・L・ジャクソン)は、警察年金基金を着服している人物が警察内部に居る事を、内通者によって知り得たと、同僚のネイサン(ポール・ギルフォイル)から伝え聞く。

その後ネイサンは殺害され、彼に呼び出され殺害現場に居合わせたローマンが殺人の容疑者に。

ローマン宅の家宅捜索で警察年金基金の資料が発見され、ローマンは横領の嫌疑まで掛けられる。

完全に罠に嵌められた格好となったローマンは、司法取引の為の猶予期間である1日が潔白を晴らす最後のチャンスとばかりに、年金基金横領事件の真相を知っていると思われる内務捜査局に押し入る。

そこでローマンは、局長のニーバウム(J・T・ウォルシュ)、ニーバウムの秘書マギー(シオバン・ファロン)、情報屋のティモンズ(ポール・ジアマッティ)、ローマンの上司フロスト(ロン・リフキン)の4人を、人質として籠城。

ローマンは本来身内である東分署側に、西分署の人質交渉人であるクリス・セイビアン(ケビン・スペイシー)としか話さないと要求。

自宅に居たセイビアンに出動要請の電話が掛かり、突如現場に向かう事となるが…。

何故ローマンが一見無謀だとも思われる人質を取っての立て篭もりといった手段に出るのか、という疑問も感じさせない演出の妙が光る。

オープニングでの自身の娘を人質にしたDV夫の事件では、交渉時間が無くなった時点で、ローマンは自らの命の危険を顧みない強行手段を執る。
ローマンの妻カレン(レジーナ・テイラー)もが心配する程の、無茶を承知で行う人物像である事を植え付けられている為、観ているこちら側は違和感を覚えない。

また、市民の為に自らの命を投げ出すローマンが、警察年金基金を着服する事は考え難く、この濡れ衣を何とか晴らしてあげたいと、鑑賞者が感情移入し易い構成は秀逸。

「人質交渉人(ネゴシエーター)」の2人の男が、「人質籠城事件の犯人」と「犯人に指名された交渉人」といった、違う立場で対峙する、緊迫した中での丁々発止の駆け引きが、本作1番の見所。

「ローマンは何故セイビアンを呼んだのか?」と劇中で何度も問われるのだが、当然ながら東分署の中に彼を陥れた人物が居る為、外部の人間を呼んだ側面がある。
もう1つの理由は、作品が進むに連れ、鑑賞者自ら納得する構成になっている。

ローマンは、マシンガントークとも言える会話の中で相手の心理や行動を操るタイプで、いざとなれば過激な手段も厭わない、行動派・強硬派。

一方セイビアンは冷静沈着で、自身が担当した事件では犯人だろうと犠牲者は出さないとの信条の持ち主で、頭脳派・穏健派。

この対極に在りながらも、どちらも訓練を受けた一般警官よりも優れた能力の持ち主であり、その化学反応が面白い。

ケビン・スペイシーの凛とした佇まいや物怖じしない表情等の熟達した所作により、出来る男感が画面からひしひしと伝わり、仲間ではないのだが 過去の事件等でセイビアンの能力を知るローマンは、彼なら真犯人を暴き事件を解決し得る優秀な人物であると見込んだのだと、セイビアンが呼ばれた理由が鑑賞者にも分かってくる。

サミュエル・L・ジャクソンだからこそのマシンガントークや熱い演技。
対象的に、静かな眼差しの落ち着き払って狼狽しないケビン・スペイシー。
両者の卓越した演技こそが、本作を上質なものへと昇華させている。

ケビン・スペイシー扮するセイビアンが、ローマンから掛かってきた電話を即切りし、「Relax.He’ll call back」と両腕を組み静観する姿は、彼の冷静沈着さを表す象徴的なシークエンスであり白眉。

また、ローマンが陸軍出身で爆弾の扱いにも長けた人物との設定により、激しいアクションシーンも用意されており、2時間19分という長尺ながら中弛みは無く、飽きる事無く鑑賞出来る。

2人は対峙している設定だか、バディムービーの定番構成である、最初は反発し合いながらも次第に相手を認め、息の合ったコンビに成って来るのも心地いい。

最後に明かされる真犯人は、同じ身内である東分署の人間と限定されている為、然程の驚きは無いかも知れない。
だがそこは、エンタメ色溢れる銃撃戦や格闘アクションで盛り上げてくれる。

主人公が執るラストの事件解決方法は、緻密な作戦では無く、行き当たりばったりの博打的なものとなっている。

しかしながら、最後も「ネゴシエーター」として巧みな話術で相手を翻弄し、真犯人を炙り出す形となっており、締め括りまで「交渉人」というメインテーマで通した、完璧なる構成だ。

今作の前年にエディ・マーフィー主演の『ネゴシエーター』(1997/米)という映画も在ったが、作品の完成度から言っても、本作『交渉人』により、警察の「人質交渉人」という職業が世界的に認知される事となった意義は非常に大きい。

詳細評価

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