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黄昏に瞳やさしく

bakeneko

5.0

ネタバレ断絶があっても、ケンカは出来る

新旧世代間の隔絶と衝突を、ユーモラスかつ繊細に活写した、人生の示唆に溢れる作品であります。 フランチェスカ・アルキブージは、現役のイタリア映画監督の中では抜群の物語構成力と緻密な心理描写で知られています(そして暖かい視点でも)。 本作はそれに加えて、マルチェロ・マストロヤンニとサンドリーヌ・ボネールの二人の名演+ララ・プランツォーニの可愛らしい存在感で、 “人生”と“世代間の価値観の相違”という普遍的な問題に対する答えを模索していきます(それぞれの人物の“言い分”に対して“どちらが正しい”と結論づけない姿勢も公平で、それによって観客もこの“答えのない”問題の解決に自分なりに思考参加することになります)。 そして、物語がどこに落ち着くかは...。 この映画が終始暖かい感覚に満ちているのは“相違を反発し合うことも、コミュニケーションであり、理解の探索手段である”ことを示し、次第に親近感が深まることを見せてくれるからであります。 全編見事なセリフに満ちていますが、映像面では、時々ちらっと見える映画ファンへのサービスもお見逃しなく。 凡百の“転がり込んできた子供に情が移って....”的な、お約束映画でないところが、鑑賞後の深い感銘をもたらすのであります。 で、この監督さんの「かぼちゃ大王」「明日、陽はふたたび」も、温かみと真摯さに満ちた良心作であります。

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