ここから本文です

ザ・コミットメンツ (1991)

THE COMMITMENTS

監督
アラン・パーカー
  • みたいムービー 79
  • みたログ 280

4.06 / 評価:102件

アイリッシュソウルを聴け

  • kor***** さん
  • 2014年4月10日 0時39分
  • 閲覧数 1245
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

アイルランド、なかでもダブリンっ子は【欧州の黒人】であると豪語する主人公ジミーが中心となり、労働者の心に届く歌をバンドで表現しようとする青春映画。個性の強いメンバーが集まる『ザ・コミットメンツ』のアンサンブルは絶妙であり、ほろ苦さなど感じさせない程に青春の輝きをアラン・パーカー監督が見事に捉えている一作。

監督の言葉を借りるなら「ダブリンの子供はボクサーかサッカー選手かバンドで成功する事を夢見る」だそうな。世界一ストリート・ミュージシャンが多い街と言われる首都では日常に音楽と接する習慣があり、オーディションで集められた若者は楽器を扱うように、演技も楽しんで磨いていく様が見て取れる。

ジョーイ・ザ・リップ役のジョニー・マーフィー以外は、全員役者としては素人であり、ミュージシャンとしてもプロといえるのは、コーラス隊のメンバーのマリア・ドイルぐらいである。(彼女は「ホット・ハウスフラワーズ」の元メンバー)しかし、ストーリーだけではなく、演奏として中年男性をメンバーに加わる点はセッション意外にも演技の面で素晴らしい相乗効果を齎している。年上男性に憧れる若い女性の気持ちや、プライドが邪魔をし喧嘩が絶えないメンバーは常にバラバラであるが、演奏は一切ふざけない。永遠に続くとは思ってもいない時間であるが、このメンバーだからこそ奏でられる音に一時の夢を重ねる様が良いのだ。

ピケットの名曲「In The Midnight Hour」も良いが、エンドロールに流れ、DVD特典として収録されている「トリート・ハー・ライト」はまさにプロのパフォーマンスだと思う。

先日観賞した社会派映画『ボクサー』とジャンルは違うが「南の人間はお断り」など土地に根付いたアイルランドの宗教感(もしくは偏見)も感じられる一作である。(カトリックだから子供が多いとか、ダブリンの北部は特に低所得者が多いので劣等感を持っていたりだとか)しかし、根付いた考え方などを重く捉えるのではなく、ごくナチュラルに描いている点にこの作品の明るさも感じられる。スカートを履いたオジサンが踊る陽気なアイリッシュダンスではなく、迫害されてきたアイリッシュソウルをジェームズ・ブラウンやウィルソン・ピケットのように、心から少年少女達が奏でるのだ。

きっと青春のほろ苦さなど伝えたいわけではない。切り取ったページの輝きを描いただけである。世の中に憔悴し、疲れ切ったベッドの上では人生に幸せを求めるかもしれないが、青春の一ページにハッピーエンドなど求めてはいけない。流れに身をゆだね思い切り楽しめばいいのだ。洗濯物が所狭しと干される家々。無法地帯のような街角。UKバンドもいいが、パブロック的な少し下品な白人R&Bもやはりかっこいいな。


・余談

・ボーカルのデコ君は撮影当時16歳。マジかい。

・強盗の流れ弾で死んだ馬が、グループ解散の予兆を示している点など、さすがアラン・パーカー。そして、自身の作品を闇市に出すとは(笑)

・ギターの“アウトスパン”役のグレン・ハンサードは15年後『Once/ダブリンの街角で』でアカデミー歌曲賞に輝く。挫けずにストリートをやっていて良かったね。

・実はコアーズのデビューのきっかけともなった本作のオーディション。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 楽しい
  • かわいい
  • かっこいい
  • コミカル
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ