東宝特撮映画コレクションより
- ハタケ さん
- 2010年11月28日 16時16分
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東宝特撮映画コレクションを買わなかった人の為に、解説&みどころより。
1958(昭和33)年10月に公開された『大怪獣バラン』は、もともとアメリカ向けテレビ映画として製作が開始された。しかし、その過程で国内での劇場公開が行われることになり、フィルムも当初のスタンダードからシネマスコープに拡大、結果として東宝怪獣映画としては初のワイド画面(モノクロ作品ではあるが)作品という栄を担ったのである。
これまでの東宝特撮のキーワードだった核の恐怖はここでは語られず、3年前に公開された『獣人雪男』同様、日本に残された秘境にひそむ怪獣を扱っている。映画の前半部は、怪獣バランが山村の邪神として扱われるなど、怪獣映画の古典『キング・コング』を髣髴させる部分もあるが、その一方で大空をムササビのごとく滑空するバランの意外な特殊能力の発揮で幕をあける後半は、その趣を一変させ、バランと自衛隊との死力を尽くした決戦がスクリーン狭しと繰り広げられる。羽田空港でのクライマックスは、東宝特撮の大きな魅力であるミニチュアワークも充分に堪能できる。
原案には世界の謎や秘境などの実録を多く世に送った作家、黒沼健を『空の大怪獣ラドン』につづいて招き、脚本は以後の東宝特撮のほとんどを担うことになる関沢新一がデビューを飾る。そして本多猪四郎監督、円谷英二特技という黄金のスタッフ布陣により、のちの東宝怪獣映画ブランドのさきがけとなる作品である。主演は、東宝特撮初となる野村浩三と園田あゆみが務め、俳優座の重鎮である千田是也のほか、平田昭彦、村上冬樹、土屋嘉男ら東宝特撮の常連が顔を揃えている。
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