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日本誕生 (1959)

THE THREE TREASURES

監督
稲垣浩
  • みたいムービー 14
  • みたログ 82

3.60 / 評価:35件

美しい国は美しい心で作る

  • kor******** さん
  • 2014年3月26日 17時53分
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

先日、天皇・皇后両陛下が伊勢神宮を参拝するため、皇位とともに伝わる「三種の神器」のうち、「剣璽(けんじ)」(剣と勾玉(まがたま))を携行し、三重県へと向かわれたニュースが流れました。時を同じくして、まったくの偶然であるが、このようなタイムリーな映画を観賞してしまった私。

先日観賞した『銀嶺の果て』(1947)で初々しくデビューしたばかりの三船敏郎といい、作曲家伊福部昭も約10年後の1959年には東宝映画1,000本目の記念作品に主役と音楽を担当するまで偉くなりました。

キャストは邦画史上屈指の豪華さ。三船の師匠とも言える志村喬もいれば、原節子も田中絹代もいる。エノケンならまだわかるが、元横綱朝潮だって出演しているのだから凄い。加藤大介含め、皆が集まる知恵の出し合いのシーンでは、乙羽信子が狂ったように舞い、それはもう神の宴のようなドンチャン騒ぎが起こります。そして悪役として登場するのは元祖黄門様である東野栄二郎。ただ、台詞の多い三船や田中を除いては、みんな身が入っていないと言うか、軽いノリで演じているように見えてしまうのです。大抵そんなノリで演じてしまっているものだから、大袈裟に両手を挙げる動作を繰り返す三船の熱演が若干浮き気味…せっかく女装もしたのにね。

話を戻し、三種の神器は庶民の目線で例えると、テレビ・自動車・冷蔵庫といったところの生活上での現代版三大アイテム。皇居が古来から皇位継承と共に継承されていた三大アイテムこそ三種の神器であります。八咫鏡(ヤタノカガミ) 草薙の剣(クサナギノツルギ) 八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)の三つ。なぜ今回八咫鏡を持って参拝していないかというと、八咫鏡は通常伊勢神宮に安置されているからであります。「鏡」、「玉」、「剣」が三つ揃うと、どんな願いでも叶えてくれる竜が登場するわけではないのですが、作中のシーンでもあるように、スサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した剣こそ、天皇と一緒に新幹線に乗った草薙の剣であります。

日本書紀&古事記で伝えられた日本神話をヤマタノオロチ退治や天照大神の「天岩戸」エピソードなど作品では描かれております。“特撮の父"円谷英二の映像が合わさり、神話を幻想的に作り上げようと必死の努力を感じますが、火の合成技術などは現代で観てしまうと…。しかしラストは圧巻。

曲がった事が大嫌いな性格の馬鹿正直さが返って利用されてしまう悲しき主人公ヤマトタケル。死んでしまった母親に会いたいと駄々をこねて暴れまわるスサノオノミコトとキャラクターをダブらせて描いていくのですが(三船の一人二役)、日本神話もギリシャ神話などと似て、中身はかなりファンキーであります。それを人間味を帯びつつ、やんわりと表現しようとしますが、大河ワンクールでも収まりきらない内容を180分で端折りながら描くにはやはり無理があります。(ベースとされる「古事記」は、言ってしまえばエピソード集みたいなもの。面白い話だけが物語形式で並び、みんなが読んで「楽しみながら歴史を知る」ための本だと個人的に思っています)

いつの時代も、どこの土地でも物語を作る上では恋が必須。そして恋に嫉妬は付き物です。今も変わらず、争いの耐えない世でありますが、強さとは武力ではなく、逞しく生きる事だと神話は説いております。美しい心を持つがゆえに、次々と困難に合ってしまうヤマトタケル。しかし、困難を乗り越え、強さと美しさを学んでいく成長物語はいつの時代でも共感出来る要素が含まれおります。美しい国は美しい心で作るのです。はて、この国は今胸を張って美しいと言えるだろうか。そして私は美しい人間であるのだろうか。神様教えてください(笑)

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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